バーチャル技術を買い物体験に活用するというアプローチは、アパレル関連にも見られる。

ネットショッピングを利用する際のよくある不満に、服や靴、帽子といった商品を試着できないことがある。最近では、商品を試着してサイズが合わなければ返品できるショッピングサイトも増えてきたが、それはそれで、気に入った商品を購入できるまで時間がかかってしまう可能性がある。色違いで悩んでいる場合などは、その場での試着に勝る方法はない。

ただ、その一方で、リアル店舗でのショッピングでも、服の試着は面倒に感じることが多い。もっと手軽に試着を繰り返せる仕組みはないか。こうした背景で開発されたのが、MemoMi Labsの「Memory Mirror」である。Memory Mirrorは、着替えることなく色違いの服を試着できるデジタルミラーである(写真2)。全身を映し出す鏡のようなスクリーンとカメラから構成されていて、試着の様子を動画として保存し、スクリーンで再生する。

Amazon.comが特許を出願しているデジタルミラーは、鏡に写し出されたユーザーの画像に水着やドレスなどを着せた上で、ビーチサイドやダンスフロアなど様々な場面で着用した姿を確認できる。服だけでなく背景とのコーディネートも表示されるので、シチュエーションに応じたファッションを、具体的にイメージしながら買い物できるようになりそうだ。

(写真2)MemoMi Labsが開発した「Memory Mirror」(MemoMi LabsのWebサイトより引用)

クレジットカードを使わない精算でツケ払いが可能に

ネットショッピングでの支払いは、クレジットカード決済や代金引換、コンビニ振込などが基本だ。現金を用意しておいたり、あとでわざわざ振込に出向く必要があったりといったことに不便さを感じるユーザーは、もっぱらクレジットカードを使うことになる。

ただ、クレジットカード情報をインターネットで送信することについて、セキュリティ上の不安を感じる人も多い。こうしたニーズに応えようとしているのが、日本では珍しい金融系のベンチャーPaidyである。

同社は、クレジットカードも事前の登録も必要ない、電話番号とメールアドレスのみでカンタンに買い物ができるようになる決済サービス「Paidy」を提供している。利用方法は、ネットショップでの支払い方法でPaidyを選択し、メールアドレスと携帯電話を入力するだけ。Paidy対応のサイトなら、すぐにPINコードがショートメッセージ(SMS)で送られる。利用者が決済画面でそのPINコードを入力すれば支払い手続きが完了する。実際の請求は、Paidyから利用者に翌月にまとめて送られる。まるでツケ払いをしている感覚で支払える(図1)。

(図1)ネットショッピングでもクレジットカードを使わずに支払いができる「Paidy」(PaidyのWebサイトより引用)

レジのないコンビニでストレスフリーなショッピング

リアル店舗でのショッピングでは、レジ待ちの時間が無駄に思える。レジの順番待ちを好む利用者は稀だろう。これは店舗にとっても効率が悪い。そこで増えてきたのがセルフレジ。スーパーマーケットなどには導入する店舗が増えてきた。ただ、利用者からすれば、いっそレジを通らずに商品を持って帰りたい。

2018年1月にシアトルで一般向けにオープンしたAmazon Goは、まさにレジを通らずに棚から商品を持って帰るという、未来のショッピングスタイルを実現した店舗である。Amazon Goでは入店前にスマートフォンで専用のアプリをダウンロードし、アカウントの作成と精算方法を登録しておく。入店時にスマートフォンの専用アプリが生成するQRコードを提示しながらゲート(写真3)を通過すれば、利用者の体とアカウントがひも 付けられる。そこから、店内でのカメラによる一挙手一頭足の追跡が開始する。あとは、さまざまな商品を自由に選んで棚から取り出し、バッグなどに入れればよい(写真4)。この時点で、店舗が利用者を識別し、そのアカウントのカートに商品を自動登録。出店時に再びゲートを通過すると、カート内の商品に関する決済が自動的に行われる。

(写真3)Amazon Goの入店用ゲート
(写真4)Amazon Goでは通常のスーパーのように日用品から食品までさまざまな商品を購入できる

Amazon Goで販売されている商品には、特別なタグを貼るなどの仕掛けは施されていない。利用者が棚から商品を取り出す行動をカメラやセンサーを使って検出し、ディープラーニングなどのAI技術による解析で購入の意思を確認しているだけだ。カメラは棚の中から天井に至るまでさまざまな場所に設置され、他にも取り出された商品の種類や数などを正確に判断するための重量センサーなどが棚に設置されている。

Amazon Goのようにレジのない店舗を実現するには、死角を埋めるのに必要な複数のカメラやセンサーなどが必要になるため、現時点では小規模な店舗の売り上げだけで初期費用を回収するのは難しいと考えられている。しかし、これらのハードウエアの価格が下がり、導入店舗数が増えていけば、そのハードルはいずれ下がっていくだろう。