財布もスマートフォンも持たず手ぶらでショッピング

上海のベンチャー企業Deepblue Techが開発したのは、入店時にポケットやバッグからスマートフォンを取り出すことなく、センサーで手のひらをスキャンするだけで本人認証を行うシステムだ。入店後はAmazon Goのようにカメラやセンサーによって行動が監視されるので、気に入った商品を棚から取り出し、退店時に再び手のひらをスキャンさせれば決済される。財布だけでなくスマートフォンさえも持たず、まさに手ぶらで買い物ができる。

Deepblue Techは中国の電子商取引大手のアリババや飲料メーカーなどと組み、無人コンビニ「TakeGo」を運営している。最近ではShenlan Technologyと組んで、手のひら認証による無人店舗車を自動運転で巡回させる実証実験も行っている(写真5)。

(写真5)自動運転で街を巡回する無人店舗コンビニ「Pattaya」(Deepblue Tech及びXinhuaのホームページから引用)

究極のショッピングは見るだけで商品を購入

レジがない店舗は、消費者に新しいショッピング体験を与えてくれそうだ。しかし、未来のショッピングスタイルでは、さらに簡単に商品が購入できるかもしれない。米電子決済大手のPayPalはARグラスを使って、目で見たものを購入する技術の特許を申請している。

2018年4月に米国特許商標庁で更新された「製品説明のARビュー」という特許は、ARグラスをかけて「見て、買う」というショッピングスタイルを可能にするもの。店舗の中に展示されている商品をARグラスで見ると、商品の説明や価格などがポップアップで浮かぶ。それらを確認して購入ボタンを見つめるだけで、PayPalアカウントでの決済が完了するという仕組みだ。

アップルも同様のアイデアを持っており、ARグラスとしても利用できる軽量のスマートグラスの特許も取得している。

将来、ARグラスが眼鏡と一体化したりコンタクトレンズに組み込まれるようになると、街角で見かけたものをその場で購入することも可能になるだろう。例えば、商品ウィンドウに飾ってある服が気に入ったら、それを見つめて2回ウィンクをするだけで決済が完了してしまう、という具合だ。商品は、そのまま店舗に入って受け取ってもいいし、決済情報にひも付けた住所に送付してもらってもいい。

「前から歩いてくる人が持っている鞄が気に入ったら、それを見つめてネットで検索し、同じ商品をその場で購入する」「見るだけショッピングで購入した商品は、その後に利用者が移動していく先までドローンが届けてくれる」。見るだけショッピングを含め、リテールのデジタル化がさらに進化すれば、こんなシーンも実現するのかもしれない。