旅行の楽しみ方は、人それぞれ異なるものだ。例えば、行ったことのない場所の観光旅行が好きな人、現地でスポーツなどのアクティビティを楽しみたい人、大自然に触れたい人……。旅行の手配も、航空券や宿泊施設の手配まで引き受けてくれるパック旅行を好む人もいれば、手配から自分で楽しみたいと考える人もいる。近い将来、こうした選択肢にバーチャル旅行が加わる。3次元映像・音の技術などの進歩により、海外旅行やアクティビティを、実体験に近いレベルで体験できるようになる。最近話題の宇宙旅行も、セレブ以外の人々にとってさえ、夢ではなくなるかもしれない。

「世界は平和なほうがいいじゃん」と伝えたい――。ZOZOの前澤友作社長は月旅行を決断した理由を、このメッセージを世界中に発信する絶好のチャンスになると考えたこと、と説明する。

理由はともかく、宇宙旅行そのものは徐々に現実味を増しているし、米Virgin Galacticのように宇宙旅行を商品として販売している例もある。ただ、Virgin Galacticの例を見る限り、当初、宇宙旅行には数千万円以上の旅費がかかりそう。未来の旅行といっても、一般の消費者が楽しめるものになるのは、かなり先の未来のことになりそうだ。

宇宙旅行に限らず、旅行に出るにはいくつかのハードルがある。まず、宇宙でなくても、海外など遠方やリゾート地などに行こうと思えば金銭的な余裕が必要である。特に家族旅行の場合など、家計に与える負担は小さくない。混雑を避けるには平日に出かけたいところだが、それには仕事の調整が必要になる。もちろん、一人であてもなく行く旅でもなければ、事前の計画や予約などの準備も必要である。そんなことを考えると、宿泊を伴う長めの旅行は、思い立った時すぐに出かけるというわけにはいかない。

では、こうしたことを解決できるとしたらどうだろう。宇宙旅行でさえ、いま想像できるよりもっと早い段階で楽しめるようになるとしたら。そんな方法がないでもない。バーチャルリアリティ(VR)などの技術を活用したバーチャル旅行がそれだ。

もちろん、家族団らんなど目的によっては当てはまらないケースもあるだろう。それでも、例えばストレス発散や気分転換が目的ならば、VRを活用して手軽に旅行気分を味わうという選択肢も、まんざら悪くない。平日に有給休暇を取ることもなく、飛行機や電車に乗って単なる移動のために時間を費やすこともなく、旅行を楽しめる。最近は家庭で利用できるヘッドマウントディスプレイが市販化されたことで、自宅にいながら手軽に旅行が体験ができるバーチャル旅行が実現した。もちろん、単なる映像だけの旅行体験では物足りなさを感じることは間違いない。このため最近は、そうしたリクエストにも対応し、よりリアルなバーチャル旅行が体験できるサービスが登場してきた。

「リアルな空間」で旅を体験

東京・池袋にあるFIRST AIRLINESは、実際に航空機のファーストクラスで使用されていたシート(写真1)に座って、海外旅行を体験する疑似体験型エンタテイメント施設である。ビルの一室に設けられた、空港のロビーを模した待合室から機内に乗り込み、110分間かけて離陸から機内での食事、着陸までを楽しませてくれる。

(写真1)FIRST AIRLINESでは、航空会社のファーストクラスで勤務していた元キャビンアテンダントが指導したスタッフがサービスを提供してくれる

シートには、離着陸時の振動が伝わってくるボディソニック(体感音響システム)装置が組み込まれている。さらに、室内に設置されたサラウンドシステムの音響効果によって、滑走から離陸、水平飛行、そして着陸に至るまで、本当に旅客機に乗っているようなリアルな体験を味わえる。水平飛行中は機内食も振る舞われ、前菜からメイン、デザートまでの本格的なコース料理を楽しめる(写真2)。

(写真2)ファーストクラスのシートで食べる機内食は前菜から始まる本格的なコース料理