イオンクレジットサービスは2018年9月よりミニストップの一部店舗において、富士通が開発した手のひら静脈認証を活用したカードレス決済の実証実験を開始している(図1)。手のひら静脈認証は、指紋認証と比べてより複雑なパターンを使って照合するので、10~100倍高い精度を実現できるとされている。

(図1)生体認証技術を活用したカードレス決済(富士通のWebページより引用)
(図1)生体認証技術を活用したカードレス決済(富士通のWebページより引用)
(写真1)手のひら認証のセンサー(富士通のWebページより引用)
(写真1)手のひら認証のセンサー(富士通のWebページより引用)

認証の仕組みとしては、人間の血液成分に含まれている近赤外線を吸収する物質を利用する。手のひらに近赤外線を照射すると静脈が浮き出るので、分岐点の角度や大きさなどの特徴をセンサーで読み取って個人を識別する。指紋のように体の表面に露出している生体情報ではなく、皮膚の下にある生体情報を利用するため、盗まれたり偽造されたりする可能性も低い。

実証実験ではイオングループ従業員を対象とし、事前に手のひらの静脈とイオンカードの情報とをひも付けるよう、利用者登録しておく。レジで精算する際は生年月日を入力した後、センサーに手のひらをかざすことで、イオンカード所持者であることを確認。ひも付けられたクレジットカード情報を使って決済処理される(写真1)。当初はミニストップの一部店舗のみが対象となるが、イオングループでは実証実験の結果を踏まえ、順次利用可能店舗を拡大する計画である。

海外で運営されるキャッシュレス店舗

手のひら静脈認証を利用した決済は、海外では既に実用化されている。韓国のクレジットカード会社であるロッテカードは、ロッテグループが韓国で展開するロッテマートやロッテリア、セブンイレブンなどの店舗で、手のひらをセンサーにかざすだけで商品が購入できる「Hand Payサービス」を展開している。

利用者はロッテカードのサービス運営店で携帯電話番号と静脈パターンを登録すれば、HandPay加盟店での買い物の精算は、レジで携帯電話番号を入力して手のひらをスキャナーにかざすだけでよい。ロッテカードは生体情報を銀行間の資金決済などを仲介する韓国金融決済院(KTFC)の顧客情報と突き合わせる。正しく認証されれば同社が保管する顧客のクレジットカード情報を加盟店に送って決済が成立するわけだ(図2)。

(図2)ロッテカードの手のひら認証によるキャッシュレス決済の構成(富士通のWebページより引用)
(図2)ロッテカードの手のひら認証によるキャッシュレス決済の構成(富士通のWebページより引用)

中国ではDeepblue Techが電子商取引大手のアリババや飲料メーカーなどと組み、決済に手のひら静脈認証を利用する無人コンビニ「TakeGo」を運営している。TakeGoは屋外に置かれた大型の自動販売機のような形態もあり、その場で手のひら静脈の登録を行うだけで、次回からはどのTakeGoの店舗や自動販売機でも手のひらだけで手軽に決済が行える。

最近ではShenlan Technologyと組んで、手のひら認証で買い物ができる無人店舗車を自動運転で巡回させる実証実験も行っている(写真2)。

(写真2)手のひら認証の利用が可能な、自動運転で移動する無人店舗コンビニ「Pattaya」(Deepblue Tech及びXinhuaのホームページから引用)
(写真2)手のひら認証の利用が可能な、自動運転で移動する無人店舗コンビニ「Pattaya」(Deepblue Tech及びXinhuaのホームページから引用)