生分解性プラスチックのカトラリー、製造は兵庫の中小企業

プラスチックごみによる海洋汚染の問題は、年を追うごとに大きくなってきている。2019年5月には経済産業省が「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」を策定。海洋生分解性プラスチックの技術開発・導入普及に関する産官学連携の方向性を示すなど、国も本腰を入れ始めた。

兵庫県川西市にあるGSアライアンスは、早くからプラスチックごみ問題を避けては通れない社会課題と捉え、自然に還る生分解性プラスチックの開発・研究を続けてきた。母体の冨士色素は昭和13年創業の色材メーカー。4代目社長の森良平氏が社内ベンチャーとして2007年に立ち上げた。

工学博士でもある森氏は、本業の傍ら環境、エネルギー分野の最先端研究を重ねてきた。これまでに発表した生分解性プラスチックは、デンプン由来のもの、古紙や紙スクラップを原料としたもの、竹、木粉、廃木材などを原料としたものなど実に多彩だ。これらはペレット状の原料としてすでに販売を開始し、徐々にリピーターも増えている状況だ。

2019年3月には、セルロースナノファイバー複合生分解性プラスチックでカトラリー(スプーン、フォーク、ナイフ)の試作品を作成。今回開発した生分解性プラスチックは、植物の主成分であるセルロースをナノ(10億分の1メートル)レベルまで分解したものに、植物性の化学合成系グリーンプラスチックであるポリ乳酸を加えたもの。今後、「Nano Sakura(ナノサクラ)」のブランド名で展開していきたいとする。

GSアライアンスの森氏。Nano Sakuraのカトラリー試作品を手に(写真:小口正貴)
[画像のクリックで拡大表示]

森氏は「発表以降、各所から大きな反響をいただいている。少しでも早く製品化にこぎつけたい」と話す。セルロースナノファイバーとグリーンプラスチックの複合化によるメリットは、樹脂機能が増加することで強度が向上し、生分解性も高まる点。森氏は「Nano Sakuraによって、生分解性プラスチックの実用化に拍車がかかれば」と語る。

Nano Sakuraを軸とした循環イメージ(資料:GSアライアンス)
[画像のクリックで拡大表示]

ただし、生分解性プラスチックの基準には厳しいグレードがあり、海で生分解するプラスチックは最もハードルが高いのだという。「時代の流れを考えても、強度がありながら海でも分解するプラスチックが理想。セルロースナノファイバーの複合化技術を用いて、開発に取り組んでいくつもりだ」(森氏)。そもそもGSアライアンスのGSとはGreen Scienceの略称であり、環境負荷を軽減したいとの思いから会社を立ち上げた経緯がある。兵庫県の中小企業から世界を変える生分解性プラスチックが生まれる日に期待したい。