日本の漁業就業者数は一貫して減少している。2017年は約15.3万人だが、これは2003年(23.8万人)の6割にすぎない。一因として指摘されているのは、ハードな仕事の割には手取りが少ないこと。そんな現状に、水産物の流通システムという切り口からメスを入れ、「漁師がいる日本」を存続させようとするスタートアップ企業がある。水産ベンチャー・ウーオの目論見と取り組みを聞いた。

「日本の水産業に新しい流通の在り方をもたらす」。このような目標を掲げて事業を進めているスタートアップ企業がある。広島に本拠地を置く、水産ベンチャーのUUUO(ウーオ)だ。日本通運出身の板倉一智CEOが2016年に創業した。

現在の主軸業務は、産地魚市場で魚を買い付け、卸業者や小売業のバイヤーに販売する水産仲買業である。だがほかの仲買業者とは大きく異なる点がある。それは、バイヤーのためにインターネット上で水揚げ情報(売り情報)を公開していることである。それが水産情報配信サービスの「UUUO(ウーオ:社名と同じ)」だ。

「UUUO(ウーオ)」のLINEに登録すると、産地魚市場が開いている朝、市場に並ぶ魚の概要がメッセージとして届く。1ケースは約5キログラム。

UUUOを使った流れは次のようなものになる。

(1)水揚げされた魚が産地魚市場に並ぶ朝、ウーオの水産物バイヤーは魚市場に赴く。7時頃から約15分の間に、競りにかけられる前の魚の写真を撮影。相場価格と共に、LINEとWebサイトに「売り情報」として公開する。例えば、「サザエ 10kg 800円~850円/kg」といった具合である。ここでの相場価格は、実際の市場での売り価格にウーオ側の手数料や配送料を盛り込んだものだ。

魚市場での業務の様子。ウーオの水産物バイヤーが競りにかけられる前の魚の写真を撮影。相場価格と共に、UUUOのサービス上に公開する(写真提供:ウーオ)

(2)競りは8時から始まる。ウーオと契約した卸業者・小売業のバイヤーはその前、つまり7時15分頃から8時までの間に、UUUOのサイトを見て魚の売り情報を確認。どの魚をどのくらいの価格で買うかを決めたうえで、ウーオの水産物バイヤーに競り落としを依頼する。

(3)8時以降の競り落としに成功したら、ウーオは魚市場から品物を出荷。仲卸業者など既存の流通網も利用しつつ、卸業者や小売業者に届けられる。

ウーオのWebサイトで公開された売り情報(水揚げ情報)の例。画像や動画と共に相場価格が提示される。2019年5月現在、約30社ほどの卸業者・小売業のバイヤーがウーオと契約してサービスを利用している。

現在、ウーオが魚を仕入れているのは鳥取県・賀露港の魚市場。2018年1月に賀露港近くに自社専用の出荷拠点「UUUO Base」を開設した。この拠点にいる3名の担当者が魚の買い付けと販売・出荷作業を行っている。

賀露港近くの自社出荷拠点「UUUO Base」(出所:ウーオ)