これまでスポットライトが当たらなかった大学スポーツや社会人スポーツの試合速報で注目を集めるサービスがある。スタジアム、テレビに続く“第三のスポーツエンターテインメント”を標榜する「Player!」だ。徹底的にスマホにシフトしたアプローチで現場の熱を余すことなく伝え、着々とサポーターを増やしている。人はなぜスポーツを観てエモーショナルになり、元気をもらえるのか。このサービスには、その問いに対する答えが隠されている。

かゆいところに手が届くアマチュアスポーツ速報のサービス

ラグビーワールドカップ2019、2020東京オリンピック・パラリンピック大会と、今後2年間で日本を舞台としたスポーツのメガイベントが続く。スポーツ庁では2025年までに日本のスポーツ市場を15兆円まで拡大するKPIを定め、スタジアム・アリーナ改革やスポーツ経営力強化などを推進している。

こうした市場を牽引するのは、すでに集客手法やビジネスモデルが確立されている野球、サッカー、バレーボール、ゴルフ、テニスなどのいわゆるメジャースポーツである。その一方、もはや生活インフラまでに普及したSNSを活用し、過去にはあまり報じられなかったマイナースポーツの情報発信が盛んになってきている。

その代表格として脚光を浴びるのが、ITベンチャーのookamiによる「Player!」だ。2015年のサービス開始以来、メジャースポーツに限らず幅広くマイナースポーツのテキスト速報に注力。スマートフォン(スマホ)に特化したスタイルで高校、大学、社会人などのアマチュア領域を中心に“かゆいところに手が届く”サービスを展開してきた。この新たな観戦手法がもたらす効果を中心に、同社 コンテンツ&マーケティング事業部の若月翼氏に話を聞いた。

テキストやエモーションで熱狂を可視化

――2019年4月でPlayer!は開始から4年が経過しました。まずはサービスの概要を教えてください。

Player!はスマホでの体験に特化したサービス。スタジアム、テレビに次ぐ第三のスポーツ観戦体験、スポーツエンターテインメントと捉えています。

実はスマホならではのスポーツ観戦体験はなかなか確立されていません。もちろん、ライブ配信で人気スポーツ中継の映像を観ることはできますが、今の時代、2時間も画面に張り付いて観るのはなかなかしんどい。仮にLINEの通知が来たら目が離れてしまいます。

そんなときに限ってサッカーの本田(圭佑)選手がゴールを決めたらどうでしょう。私たちは、スポーツの一番の価値は決定的な「その瞬間」にあると考えています。でも先ほどのような理由から、その瞬間を逃してしまうことは日常生活では珍しくないのです。そもそも仕事や学校があって試合をずっとは観られない、それに試合があることさえ知らないといったことも多いのです。

そこでPlayer!というスポーツ速報の専用プラットフォームを利用し、決定的瞬間を通知で補完したり、試合経過がわかるチャットテキストを用意したりして、盛り上がりをトレースできるようにしています。その他の工夫としては、観戦者たちのコメントや、感情を表すエモーションスタンプなどがあり、具体的な“熱”を可視化しているのです。

Player!の設定画面。サッカーだけでも地方の社会人リーグまでフォローする(左)。速報を入手するのが難しいサッカー天皇杯もリアルタイムで盛り上がることができる(右)。チャットには感情を表すスタンプが用意されている

映像には映像の強さがありますが、逆に応援している気持ちは映像からは伝わりにくい。試合に対してどれだけそれが盛り上がっているかをテキストとエモーションで感情を可視化しています。

――私もJリーグのJ2チームのサポーターで5ちゃんねるの実況版を覗くことがあるので、その感覚はよくわかります。

雰囲気としては近いでしょう。別にあのカルチャーを継承しているという意味ではなく、気持ちが見えてくる意味で、ですが。それをスポーツ専用に振り切った形です。

――しかもメジャースポーツよりむしろ、高校、大学、社会人などのアマチュアスポーツにフォーカスしているのも特徴の1つです。

そうですね。配信や実況などがない分野を意識してフォローしています。中でも注力しているのは学生スポーツです。

傾向として、盛り上がるのは高校スポーツです。それは甲子園、高校サッカー選手権などでも証明されていますが、やはりPlayer!でも同じです。観戦者は自分の出身高校を応援し、地元を話題にして盛り上がれるからです。

対して大学スポーツは広げる側の熱狂がすごい。現場に関わっている人たち――マネージャーや広報が能動的にPlayer!を使い、大学スポーツを自らの手で盛り上げていこう、もっと普及していこうと頑張っています。その背景もあり、大学スポーツはPlayer!と親和性が高い。「する・みる・ささえる」をすべて大学生が運営している稀有な領域であり、どこか文化祭的な楽しみ方があります。

大学ラクロスなどはその好例です。それまでラクロスを配信している場はなく、あったとしても、Twitterでバラバラに結果を伝えるにとどまっていました。そこでPlayer!が速報を伝えたいニーズにうまくはまった。今では個々のチーム単位で導入が進んでおり、それを見た他のチームから導入の相談を受けて広がっています。

――導入ということは、Player!の仕組みを直接渡して速報してもらうやり方なのですか。

はい。導入チームの方には、管理画面から速報をしてもらっています。また、各スポーツのトップリーグと連携もしています。

やはり、現場の人たちが速報する場合は熱量が違います。最低限、両チームの速報をしてもらうルールを設けてはいますが、どうしても主観が入ってくることもある。それもチームごとに個性が出てくるから面白いんです。客観的に速報するチームもあれば、逆にすごく感情を乗せて応援までしてしまうチームもあります。

現在、競技数は40種類以上、年間の試合配信数は1万6000試合以上です。サッカー、野球、テニス、陸上などをはじめ、ラクロス、ハンドボール、ソフトボール、ゴールボール、フライングディスクなどもあります。誰もが情報発信できる時代には合致しているサービスだと自負しています。