1万人のライトファンより100人の濃いファンが重要

――Player!が広がったことで生まれた効果とは。

「こんなスポーツも配信してくれているんだ」という喜びのコメントがあると成果を実感します。例えばハンドボールの高校選抜大会はキラーコンテンツになっています。高校のハンドボール競技者はおよそ4万人ですが、高校選抜では延べの観戦者数が10万人弱まで達したこともあります。つまり高校関係者の数を超えているわけで、Player!があったからこそアプローチできたのだと考えています。翌日の新聞ではなく、Twitterの結果報告でもなく、リアルタイムで試合経過がわかるようになった。さらに競技者、保護者、ハンドボールファンそれぞれが体験できるようになりました。その手応えはひしひしと感じています。

先日、大学ソフトボール関係者の方からは、地方出身の娘さんをずっとPlayer!で応援している親御さんのエピソードを聞きました。しょっちゅう応援に行くことはできないのでバーチャルで観戦していたけれども、ついにはいても立ってもいられず上京して生の試合を観に来てくれたのだそうです。それは非常にありがたい話です。

ookamiの若月氏。自身も高校までは陸上競技に没頭した(写真:小口正貴)
ookamiの若月氏。自身も高校までは陸上競技に没頭した(写真:小口正貴)

大学スポーツはそういう状況が多く、距離的・時間的な問題で観に行きたくても行けない、そのジレンマを解消するハブとしてPlayer!が役立っています。バーチャルな空間で応援するアクションが起こせるだけで、熱狂や感情移入の度合いは違ってきます。これは関係の深い親御さんだけではなく、何となく知ってはいるが試合に行くほどではない大学の友だちにとっても効果的なのです。「ちょっとチャットを覗いてみよう」という発想になれば、ゼロだったところに1が加わります。こうして、少しでも興味がある人たちが試合を観るきっかけになってくれたら嬉しいですね。

――確かに、今の時代に即した広がり方と言えます。

Player!によって、マイナースポーツが好きな人たちが集まる場所が確実にバーチャル上に形成されてきています。大学スポーツのOB、OGは卒業後、全国に散らばってしまいますが、週一回、試合の時間に仮想同窓会のように集まって自分たちのチームを応援する。Facebookだと改まって話さなくてはならない雰囲気がありますが、OB、OGはかつて同じ時間・場所・競技を共有しているので、ゆるく集まってゆるく話すことができます。

そんな価値提供もPlayer!で担えると考えています。今、ゆるく話せる場所は一般的にも求められているじゃないですか。会社でも雑談できる機会があったほうが組織運営が上手く行くように。私たちはそれを余白と呼んでいて、つなぐ役割をスポーツが担うことができると思っているんです。

ただし、人数至上主義ではありません。重視するのはあくまで濃度です。私がよく学生に話すのは、1万人のライトなファンを集めるよりも、100人の濃いファンを集めたほうがあるべき姿だということ。メジャースポーツの場合は数が重要になりますが、マイナースポーツはマス化は難しい面もありますから。

ならばビオトープのように、細かく小さい輪がたくさんできたほうがいい。社会的にもそういう時代でしょう。今や音楽でメガヒットがほとんど生まれないように、ユーザーの好みは分散しています。分散した好みをしっかり囲い込める場所を作り出すことが大事なのです。

――なるほど。では今後に向けて、Player!をどう発展させていきたいと考えていますか。

今、寄付機能をテストしています。可視化された応援の形に対してユーザーが投げ銭のように寄付をすることができないかと。それをチームに還元できる仕組みができれば、最終的に運営資金が入ってくることになります。

日本の大学スポーツ運営はギリギリで、自分たちの部費とOBからの寄付で成り立っている部活がほとんど。だからこそうまく寄付機能を確立して、使えば使うほどお金が入ってくることが実感できるようなエコシステムを作っていきたいのです。

並行して「こんなスポーツを取り上げてほしい」とのニーズも数多くいただいているので、ロングテールでさまざまなカテゴリーを拾うことも1つのテーマです。いずれにしろスポーツは応援していることで自分が確立される感覚があり、世の中を明るくしたり、元気づけたりしてくれるもの。朝から大谷(翔平)選手がホームランを打ったと聞けば、頑張ろう!という気持ちになれます。そうしたエンパワーメントを引き出すサポートに、Player!が役立ってくれれば嬉しいですね。