近未来は「手ぶらで暮らせる社会」になる

──「東京エレビGO」と「エレシネマ」の2つの事業を展開されていますが、この先はどういうサービスを考えていますか?

:イメージとして第一歩目は、ビルのハブみたいな存在になることです。「東京エレビGO」のモニターは、タッチパネル搭載のアンドロイド端末で、いわば大きいスマホです。カメラも搭載しています。いまは情報が流れ続けているだけですので、今後はタッチパネルのボタンを作って、防災情報など見たい情報をすぐ見られるようにしたいと思っています。

その次は、このモニター上でネットショップなどのECを可能にしたり、インカメラで画像認証してエレベーターの待ち時間にランチの注文ができるようにするなど、いろいろとやっていきたいです。すでに、プロジェクターをタブレットのようにタッチ操作できる技術も開発されつつあるんです。ですので、いずれは「エレシネマ」でも同様のことが実現できるようにしていきたいと思っています。

また、営業などでビルに入った時、受付の人が上階の会社に電話を入れてアポがあるかどうか確認したり、エレベーターを乗り継いで上まで行くと、また別の受付の人がいて部屋まで通してもらったりというような段階を踏むことがありますよね。こんなことも多分解決できると思っています。

例えば、事前にアポの日時とともに顔を画像登録しておくと、遠くからその人の顔を読みとった時点でエレベーターが迎えに来て、乗ったらすでに行先階が押されている。会社の方では、約束の人がビルに着いた時点で本人のパソコンに「お客様がいらっしゃいました」と通知が飛んできてすぐに出迎えに行ける、というようなことが可能になるはずです。まさにこれが「無人コンシェルジュ」サービスです。他にも、各階に設置したモニターの前を通るだけで、出退勤管理ができるといったことも考えています。

──上場は計画してますか?

:はい。2024年くらいに上場することを検討しています。2024年の世界は、端末があちこちにあり、そこで誰もがスマホをリプレースしたり、買い物ができたり、SNSも利用できる世界になっているとイメージしています。さらに、いずれはその辺の空間がいつでも端末に変わるようになるでしょう。例えばガラスに画像認証すると、ガラスそのものを自分のスマホとして使えるというイメージです。打ち合わせやプレゼンの時は机が端末になります。

(資料提供:株式会社東京)
(資料提供:株式会社東京)

歩きスマホをしたい人はどうするかというと、ドローンが付いたスマホがその辺に飛んでいるので、使いたい時に空間からスマホを取って、使い終わったらまたパッと投げるとドローンで飛んでいく。ありとあらゆるものが顔認証すると呼び出されて、クラウドに上がっていく…。

私は世界を「手ぶらで暮らせる星にしたい」と思っています。単純に手ぶらで歩くと気持ちがいですよね。普段思いもしなかったアイディアが浮かんだりしませんか?そんな時も壁を端末にしてメモできます。このような未来は確実に実現すると思っていて、私はそんな手ぶら社会の実現をエレベーターの周辺からやっていきたいんです。「エレシネマ」の方では、壁を一つのスマホみたいにしてスカイプができる仕組みというのも構想中です。

──自分専用のスマホやパソコンはいらなくなり、さまざまな情報が空間に溶け込んでいくんですね。

:そうです。手ぶら社会は「こうなれば多分みんなも幸せだろう」と思う私の理想であり、仮説であって、本当に幸せかどうかは分かりません。でもそれを確かめてみたい。その根元は、自分の中知的好奇心があります。人間をもっとクリエイティビティにする事業をやりながら、自分が知りたいことを知ることができたら嬉しいです。

(写真:鈴木 素子)
(写真:鈴木 素子)