将来はユーザーの力でコンテンツを生成したい

開発当初はこうしたエンタメ、スポーツではなく、技術教育分野での活用を進めてきた。全国で広く学校運営を行う三幸学園はクライアントの1つで、「東京リゾート&スポーツ専門学校」に撮影専用スタジオを設置。講師の授業を多視点映像で配信することで、視覚化による学習意欲の向上や、時間・場所に縛られない教育内容の平準化にトライする。

「専門学校では、技術を習得するための手や体の動きが重要になるが、教室ではそこまでフォローできない。誰でも好きな角度から見られるようになれば、文字では伝えきれない部分を立体的に伝えられるようになる。何しろ、スマホで見られるのは今の流れに合っている」(下城氏)

東京リゾート&スポーツ専門学校に設置された撮影専用スタジオ。ここで360度動画を撮影する(提供:AMATELUS)

今後は、ユーザー自身がコンテンツを生成して共有し合うUGC(User Generated Contents)を大きな目標とする。その布石として、すでに動画撮影同期アプリ「SVCam」のiOS版を公開している。

「これは、マジックワードと呼ぶ共通の言葉を入力したユーザー同士が、世界のどこにいてもiPhoneのシャッターを同期できるアプリ。同じライブやスポーツイベントに集う観客が同時刻で一斉に異なる角度から撮影し、それを配信ツールにアップすればUGCによるスワイプビデオが完成する。これぞ5Gの多接続・低遅延に向けた新たな楽しみ方になる」(下城氏)

現状、配信ツールは個人利用できないが、将来的にサービス提供されれば、同じ空間を体験した者同士が多視点の映像を共有できるわけだ。しかも視点を好きに切り替えられるとなれば、会場では体験できなかった位置から擬似的な追体験ができるため、マーケットの広がりは大きい。

将来的にはUGCによるコンテンツ共有を見込む(提供:AMATELUS)

「自由視点映像はまだまだこれからの市場。米国にすら我々のようなスタートアップはなく、世界的にも当社はすごく進んでいる。私が目指しているのはVOD 2.0という概念。View On Demandの略称で、今まで見ることができなかった視点を手に入れられる世界のことだ。これにより、映像を作る側、見る側の観念も変わってくるのではないか」(下城氏)

革新性に共鳴し、AMATELUSにはサッカー日本代表の長友佑都氏も投資家の1人として名を連ねる。電通とも業務提携を結び、エンタメ業界ではますますスワイプビデオの配信が増えることが予想される。試す機会があれば、ぜひ体感してみてほしい。