テレビタレントとしての活躍だけでなく、経営者、投資家、大学院生など、さまざまな顔を持つ田村淳さん。政治や社会、環境問題についても独自の視点からの発信を続けるインフルエンサーとしても知られています。このように幅広い活動をしている田村さんは、どのようなことに興味を引かれたり、関心をもったりするのでしょうか? 未来コトハジメ新連載企画『田村淳さんと“未来を支えるテクノロジーを探ってみた”』第1回となる今回は、そんな田村さんの活動におけるスタンスや考え方を聞いてみました。

──「未来コトハジメ」は社会の課題解決に挑戦する技術や新事業、アイデアを紹介するメディアです。いくつかあるキーワードとして、「SDGs」や「サステナブル」などを掲げているのですが、田村さんがMCを務めているテレビ番組『緊急SOS! 池の水ぜんぶ抜く大作戦』も、そういった環境問題的な視点のあるものかと……。

田村 いや、あれはそんな高い志をもって始めた番組じゃないですね(笑)。単純に水を抜いたら何が出てくるんだろうっていう疑問がスタートだったので。ただ、やっていくうちにそれなりに使命のある番組だなとは思うようになりました。やっぱり生き物の問題ですから。在来種を脅かす外来種の駆除処分するときに、番組を見ている子供たちが、こっちが良い生き物、こっちは悪い生き物みたいな考え方をするようにはなってほしくない。そもそも外来種も人間の力で池に入れられてしまっているわけで、人間が生き物を管理するっていうのはどういうことなのか、そこの意識改革を進めないと池はきれいにならないし、在来種もいなくなっちゃうっていう。そういうことを番組を通して伝えられたらな、と。後付けですけど、こういう響き方があると途中で気づいて、そっちの方向へシフトしていったところはありますね。

──田村さんご自身が「SDGs」を意識されるようなことはありますか。

田村 僕は今、慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科に通っていて、そこでも「SDGs」はよく取り上げられています。メディアデザイン研究科では、自分が実現したいサービスを考えて、ローンチまでに必要なことを学んでいくのですが、自分のプロジェクトが「SDGs」の目標項目のどこに位置するかということを考えるような授業もあるので。

普段の生活だとプラスチック問題には興味を持っています。一時、ペットボトル飲料をやめようと思って水筒を持ち歩いていたこともあるんですよ。でも、続かなかったですねぇ。水筒の水を飲んでしまったら、もうペットボトル飲料を買う以外に水が手に入らないじゃないですか。公園の水飲み場で水をくむわけにもいかないですし。だから、ペットボトルの容器を減らすという方向ではなく、ペットボトルごみをなんとかするという方向に考え方を変えたほうがいいんじゃないかと感じています。自然分解して土に還るプラスチック素材が開発されたという報道もあったので、いずれは代わっていくのかな、と。

日常の生活で感じているのは、アルミサッシの意味のなさとか。アルミサッシは日本の住宅の大半に使われていますが、熱伝導率とか断熱性を考えるとまったく住宅に適していない素材なんですよね。それをみんなわかっているのに、いっぱい仕入れちゃってるから無理やり使ってるみたいな。そういう不合理なことがすごく嫌いなんですよ。だから自分で家を建てたときは樹脂サッシを使ったのですが、それだけでエアコンを使う頻度がすごく下がるというのは実感できました。そういうところも気にするようにしていますね。

投資対象は「世の中の概念をガラッと変えるもの」

──テクノロジーに関してはどのようなところに興味を持っていますか? 田村さんはビジネス番組のMCなどで先端技術を駆使するさまざまな企業を訪問されていますよね。

田村 ロケットを飛ばしている人が好きなんです。僕はもともと、失敗そのものを楽しんで、さらにそれを糧にして次につなげていくような人が好きなんですけど、ロケットを宇宙に飛ばすなんて失敗が多いに決まってるじゃないですか。失敗を恐れる人はロケットに手を出さないと思うんです。ロケットっていう失敗を恐れない挑戦をしている中で、一番好きなのは植松電機の代表の植松努さん。この人のロケットは小さいんですけど、とにかくバンバン飛ばして、めちゃめちゃ失敗もしている。それですごいのは、NASAがその失敗のデータを欲しいと言ってきたっていう。NASAはそんなに失敗できないから、参考にしたい、と。それってすごいかっこいいなって思うんですよ。

あとは、工業用ロボットなんかにも興味がありますね。

──ロボティクスの分野ですね。

田村 ロボティクスそのものには、数年前に一世を風靡した、ある人型ロボットにがっかりさせられてから一切興味がなくなったんですけど(笑)。あの人型ロボット、全然使えなくないですか? あれが“できるロボット”扱いされている空気がすごくイヤで。だけど、工業用ロボットの洗練された動きは好きなんですよ。電子部品を基板に載せる機械、チップマウンターで世界トップクラスのシェアと技術があるFUJIとか、鉄の塊を自動でものすごく精密に高速切削するヤマザキマザックなんかのロボットの動きを見ていると、なんだか気持ちが落ち着くんです。ロボットって一番効率よく、一番早く、一番ムダのない動きを見せてくれるじゃないですか。人間とはまったく違うところを追求して、そのテクノロジーの高さにもワクワクするんです。こういう会社を見ると、日本にはすごい技術がまだまだいっぱいあるんだなと。

ただ、大学院に通っていると不思議に思うことがあるんですよ。

──どういうことですか。

田村 みんな就職先を人気ランキングで選ぶんですよね。せっかく大学院まで行って一生懸命に研究してきたのに、結局ランキングで選んじゃうのかって。自分が一生働くかもしれない場所なんだから、僕だったら1年ぐらいかけて会社見学をして、自分が納得する会社に自分の能力と時間を投資したいと思うんですけどね。

──田村さんが納得するポイントはどういうところでしょうか。

田村 やっぱり「ワクワクする」ってことが大事だと思います。「これを作ってみたい!」とか「この人たちと一緒に仕事をしたい!」とか。そういうワクワクがないのに、人気とか給料の高さで会社を選ぶと、入ってから苦しくなると思うんですよ。それですぐに会社をやめて、再就職先が見つからないみたいな悪循環になっちゃう。だから、人気とか給料とかじゃなくて、単純に自分の「興味のあること」でいいと思うんです。「やりたいこと」っていうのはなかなか見つからないんで。

ビジネス番組のMCをやっているので、企業の経営者に話を聞く機会が多いんです。そういうときに番組とは直接関係ない話を掘ったりするんですよ。興味本位で。意外とそういうときに「うわ、すごい!」と思うような面白い話が出てくる。いろんなことに興味を持つということは大事だと思いますね。

──田村さんは若手の起業家を支援するベンチャー投資や出資活動もされています。投資や出資先を決めるときに重要視しているポイントも同じように「自分がワクワクする」というところなのでしょうか。

田村 そうですね。これから大きく羽ばたいてくれそうとか、そういうのは当然あるんですけど、やっぱり一番大きいのは、自分が「このサービス・商品を使ってみたい!」と感じるかどうか。それと「これが世の中に出たら概念がガラリと変わるな」と予感させるものは出資や投資の対象になります。

例えば、「BASE」という会社が大好きで投資もしています。誰でも簡単にネットショップオーナーになれるっていうサービスを提供している会社なんですが、まだ立ち上げたばかりの頃に社長に会う機会があったんです。当時、僕は「あつぽん」というポン酢を作っていたので社長に「これネットショップで売れる? 100本あるんだけど」と聞いたら、「100本売れるかはわからないですけど、10本は売れます」と言われて。それで、その場でパパッと登録してネットショップ開設して売ってみたら、3分で100本売れたんです。「すげえ!」って。これはものを売るという概念をガラリと変えるサービスだなと。その場で「投資させてよ」という話になりました。

──田村さんはeスポーツの分野で投資やコンサルティングを行う「BBV Tokyo」の取締役を務めていますね。eスポーツへ参入された理由も、そういったところにあるのでしょうか。

田村 もともと僕がゲーム好きっていうのもありますけど、eスポーツもまた世の中の概念を変えたものだと思うんですよ。基本的にこれまでゲームって“良いもの”とされていなかったですよね。大人は子供に「やりすぎちゃダメ」っていうものだったのに、今では大きなビジネスになって大人も子供も熱中してる。そんなふうにゲームっていう概念をガラリと変えたんです。こういう変化って、テクノロジーの力と人間のポリシーがうまく結びついて、大きく花開いた瞬間じゃないか、と。そういうものに一番興味を感じるんです。