新型コロナの影響で急速にテレワークが進み、予想外の形で“働き方改革”を実現するチャンスが到来している。こんなときだからこそ企業は適切な支援や助成をいち早くキャッチアップして生まれ変わることが求められる。現在の最新状況を理解しながら、テレワーク支援の未来を探る。

ついにハンコ文化を捨てた企業が登場

新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下新型コロナ)の影響で、急速にテレワークが進んでいる。一方で日本固有のハンコ文化や、未だに根強く残る書類・帳票類の紙文化が普及の足を引っ張っているのも事実だ。

クラウド会計ソフトのfreeeがWebアンケート調査でテレワーク時の出社理由を尋ねたところ、約40%が「取引先から送られてくる書類の整理作業」、約20%が「契約書の押印作業」と答えた。同様のアドビ システムズの調査では、じつに3分の2の人が「紙書類の確認や捺印などでやむを得ず出社したことがある」と回答した。また、安倍首相が2020年4月22日のIT総合戦略本部合同会議で「紙や押印を前提とした業務慣行を改め、オンラインで完結することが原則となるよう点検してほしい」と要請するなど、政府も懸念を表明している。

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freeeによるテレワークのアンケート調査。未だに紙やハンコに縛られる現実が浮き彫りに(出所:freee)

そんな中、注目を集めているのがシヤチハタの電子印鑑サービス「パソコン決裁クラウド」だ。2020年3月31日から6月30日までの3カ月間、無料開放することを決めた。通常時の印鑑登録は10個単位、ミニマムで年額1万2000円からだが、今回は印鑑数の上限なしとあって申し込みが急増。TBS NEWSの報道によれば、今年2月の新規申し込みが2000件だったのに対し、4月は11万件に達したという。クラウドサービスのため、パソコン、タブレット、スマホなどから場所を選ばずに捺印ができる。捺印1つ1つにIDが割り振られ、どこで誰が捺印したかの履歴を残す改ざん・なりすまし防止機能もある。

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シヤチハタは2020年6月30日まで電子印鑑サービスを無料開放(出所:シヤチハタ)

2020年4月17日には、GMOインターネットグループが自社提供サービスにおけるユーザー手続きから印鑑の完全撤廃を表明、当日から実施した。さらに今後は取引先企業への電子契約を加速する方針を示した。同社は2020年1月末と早い段階から在宅勤務体制へと移行し、新型コロナ対策を進めてきただけに、この施策は改めて大きなインパクトを与えた。

並行してGMOクラウドが提供するクラウド型電子契約サービス「GMO電子契約サービスAgree」の「スタンダード」プランを、新規契約を前提に約1年間無償提供。申し込み期間は2020年5月31日までとなっている。無料開放はしていないものの、シヤチハタのパソコン決裁クラウドはグローバルで広く利用されている電子署名サービスの「ドキュサイン」と連携する。新型コロナの余波は、間違いなく紙によるワークフローや契約を見直す契機となるだろう。