あえて「不便」なお金をデザインする

お金とは人が幸せになるための手段である。そう再定義することによって共感の循環を生もうとしているのが、共感コミュニティ通貨eumoの取り組みです。

この通貨は利用するコミュニティごとに通貨の種類が異なります。都市でのライフスタイルを想定し、オンラインの買い物などにも対応した全国で使えるeumoと特定地域やコミュニティ内だけで使えるeumo localです。合理性、利便性の極みともいえる法定通貨とは対照的で、意図的に「不便」なようにデザインされています。

──「意図的に不便」、とおっしゃいましたが、どんな点でしょうか。

新井:第一に、貯蓄することができません。有効期間が発行から3カ月に設定されていて、期限を過ぎると消えてしまいます。私は、今の資本主義を「皆がお金を貯めるゲーム」に参加している状態と考えています。お金が目的になるのは、貯めることで権力化し「勝者」が生まれるから。そうであれば、使わなければなくなってしまうお金を作ればいい。そう考えたのです。

第二に、移動の制約があります。eumoからeumo localへの変換はできるのですがその逆はできません。つまり、使っていくうちにコミュニティに関わるようになり使用範囲が狭くなるのです。地域にお金が落ちずに都市にお金が流れるという法定通貨で起きている現象を防ぐことが目的です。

また、eumo localはあえて直接会わないと使えないものも設定しています。これは三つ目の「不便」なポイントだと言えるでしょう。実際に地域に出向いて生産者やサービスの提供者に会って共感レベルを高めてもらうように、行動そのものもデザインするのが狙いです。