共感を社会に循環させるための「ギフト」と「再配布」

これらの不便さは全て、社会と地域が豊かになるための機能でもあるのですが、eumoにはもう一つ大きな特徴があります。それは、「ギフト」と「再配布」という考え方です。使い手は支払いの際に任意の割合で金額に上乗せして支払います。これがギフトで、チップのようなものです。10パーセントをデフォルトの設定にしていますが、割合は支払う側が自由に変更でき、そのうちの一部を私たちの会社が手数料としていただくことになっています。

仮にギフトの設定が私たちに支払う手数料を下回ってしまうような場合には、会社側から不足分をお店に還元する予定です。ギフト額が0円ということも制度上は可能ですから、物やサービスの提供側が損をしないためのキャンペーンを実施するつもりです。しかし、私には多くの人がギフトを支払うのではないかという確信があります。そもそも幸福学に基づいて言えば、自分ではなく他人のためにお金を使った方が人は幸せになるんです。

実証実験で使われた決済アプリのイメージ図(画像提供:eumo)
実証実験で使われた決済アプリのイメージ図(画像提供:eumo)

eumoではさらに、ギフトは楽しいというマインドセットになれるようなわかりやすい仕組みを導入しています。それが「再配布」です。たくさんギフトをしてくれる使い手は社会にとっても貴重な存在ですが、その人たちの資金が尽きてしまったらそれ以上ギフトのしようがありません。ですから、送ったギフトの総量に応じて、会社からeumoが贈られるようにしています。

また、使用期限を設けていることも、ギフトの後押しに関係しています。翌日には消えてしまうお金があったら、その分は今日の支払いで上乗せしよう、という気持ちになるでしょう。

売り手がeumoに加盟するには、ユーザーの推薦を必須にしています。推薦コメントを入力するのですが、例えば地域コミュニティの場合は、それらが「ご当地自慢大会」になるんです。純粋に好きだから自慢をしたい、売り手が潤うことが自分の幸せにも繋がるから応援したいという気持ちだけで成立している、信頼と共感のネットワークが生まれます。自分の利益しか考えていないような売り手へのギフトは自然に減っていくでしょう。アプリで表示される順番もギフトの総量と連動させようと考えています。

ここでは地域コミュニティの例を出しましたが、例えばeumo localの主体となるコミュニティは、自治体でも会社でもNPOでも業界団体でもよく、必ずしも地域に根差している必要もありません。フェアトレードを行っている加盟店や、全国のユニークな書店のネットワークのための通貨を作るというアイデアも出ています。コミュニティを豊かにするための独自の通貨を持っていた方が良いと考える人たちが自分たちでデザインし、採用すればいい。彼らが固定費なしで運用できるようにインフラをデザインするのが私たちの役割です。