新型コロナウイルスの感染が拡大する中、いち早く行動した技術者集団がある。それが「シビックテック」を推進する団体、一般社団法人Code for Japanだ。東京都の対策サイトや接触確認アプリなど、コロナ関連の様々なプロジェクトに関わっている。シビックテックとは、地域の課題解決に市民自らIT(情報技術)を使って取り組むことを指す。コロナウイルス対応において、シビックテックはどのように力を発揮したのか。またその成果が、今後のシビックテックの状況にどのような変化をもたらすのか。Code for Japanの関浩之代表に話を聞いた。

──Code for Japanがどんな組織か教えてください。

関氏(以下、敬称略):「ともに考え、ともにつくる社会」を合い言葉に、「シビックテック」と呼ばれる活動を推進する非営利団体です。2013年に立ち上げました。

多くの人は行政の問題や地域の公共の問題に接したとき、その解決は政府や公的機関がやるべきと考えます。「税金を払っているから、サービスとして受けるのが当たり前」という考え方です。私も以前はそう考えていました。

一方でシビックテックの考え方は、そういったいろいろな課題に対して、「私たちも自ら考え、テクノロジーを使って解決しよう」、「行政や地域のパートナーとしてできることをしよう」というものです。Code for Japanは、各地域でシビックテックに取り組むコミュニティをサポートしたり、コミュニティを行政と繋ぐお手伝いをしたりしています。

Code for Japanの関浩之代表(写真提供:Code for Japan)

──メンバーの皆さんは他の仕事と並行して活動をされているんですか。

:フルタイムで働いている職員が3人ほどいます。プロジェクトには様々な形があって、ボランティアとして関わることもあれば、普通の情報システム開発会社のようにシステム開発を受注して対価をいただくこともあります。

東京都の新型コロナウイルス対策に貢献

──新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、Code for Japanとして様々な取り組みをなさっています。「東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト」、「VS COVID19アイディアボックス」、「まもりあいJapan」の3つについてそれぞれお教えいただけますか。

:東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイトは東京都から依頼を受けて構築し、3月に開設しました。東京都におけるコロナウイルスの感染者数、検査数などをグラフメインで分かりやすく表現するサイトにしたことが特徴です。外部の方が分析に使えるよう、データはオープンデータとして公開しています。

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東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト(出所:同サイト)

我々には「データと見せ方は分離すべき」というポリシーがあります。対策サイト上ではグラフでデータを提示していますが、外部の方にはデータを利用してまた違った見せ方をしてもらえればと考えています。

次に、VS COVID19アイディアボックスは、コロナウイルス対策におけるアイデアを国民から広く集めるために立ち上げたものです。国民の意見を反映させる仕組みとしてはパブリックコメントが知られていますが、意見を一方から言うだけになってしまうところが課題です。これに対してアイディアボックスの場合は即日返事が返ってきますし、いいアイデアであれば現場で検討します。すぐに反応があるので、アイデアを出す意欲が沸きやすいのではないでしょうか。

──アイディアボックスを拝見すると、経産省や総務省、内閣官房の事務局が積極的に返信していて、やり取りが活発ですね。

:そうですね。アイディアボックスという仕組み自体は経産省が以前から運営していました。今回はコロナウイルス対応のために新たにサイトを立ち上げ、我々が主体になって運営しています。機能自体は経産省のものとあまり変わらないのですが、今回我々にサイト開発・運営をご依頼いただいたのはリリースまでのスピード感を早めるためだと思います。VS COVID19アイディアボックスは5月13日から6月5日までの期間限定で公開していました。

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VS COVID19アイディアボックス(出所:同サイト)