「企業のコミュニティ」という枠組みにすることで安心・安全を提供

豊嶋:もう一つ、起業に踏み切った大きな要因がありました。それは、ヒアリングした際に多くの人が既存の婚活サービスやマッチングサービスについて課題を感じていたことでした。最大の課題は安心・安全性です。これらのサービスを利用していない人の多くが、どんな相手が登録しているのか、実際に相手に会っても大丈夫なのかといった安心・安全性への不安から、利用をためらっていました。

費用対効果の悪さも課題でした。条件に見合う人に何度も会って、その中から1人に決めるというのはとても大変なことです。自分の行動に対してリターンを求める人は、「効率が非常に悪い」と感じていました。

こうしたことから、「複数の信頼できる企業でコミュニティを作り、各企業が福利厚生として出会いを提供できるようにすれば、課題を解決できるのではないか」と考え、Aillの着想に至りました。

加えて、ユーザーの母集団を企業のコミュニティという形にした理由は、「こういう条件の人と出会いたい」と考える人はいますが、「この会社の人じゃないとダメ」と考える人はいないからです。ユーザーには「こういう企業の人がコミュニティに入っていますよ」という趣旨を伝えておけば、サービスを利用される方は企業という枠組みを通して安心・安全を感じながら、個別の企業という枠を越えて、条件に合う人と効率よく出会うことができます。

デートのきっかけづくりや誘うタイミングをAIがサポート

──Aillのサービス内容やアプリの利用の仕方について教えてください。

豊嶋:まず前提として、Aillは先ほどご説明した信頼できる企業コミュニティをベースにしていることがポイントです。企業の福利厚生サービスという形態にし、企業コミュニティの中から出会いのチャンスを提供するという枠組みにした上で、出会いを提供します。

Aillのアプリではユーザーにおすすめの相手を提示するのですが、この際、登録メンバーのプロフィール情報だけでなく、Aillのアプリ上におけるユーザーの行動履歴も活用しています。行動履歴をAIが分析することによって、そのユーザーと価値観が近く、関係がより進展しやすいと思われる相手を紹介するようになっています。

気になる相手を特定した後は、AIが関係の進展を支援します。この機能には、アプリ上でAIのキャラクターが会話をアシストする「会話ナビゲーション」と、相手の気持ちを見える化する「好感度ナビゲーション」の2つがあります。会話ナビゲーションは、デートのきっかけ作りやアプローチの仕方、またアプローチのタイミングなどをアドバイスします。

もう1つの好感度ナビゲーションは、「好感度」や「告白成功確率」などの指標を示します。これにより、連絡を取り合っている複数の相手の中から、最も恋愛関係に発展しやすい人を選び、効率的にアプローチすることを支援しています。

会話ナビゲーション機能では「スポーツバーに誘ってみると相手は受け入れる可能性が高い」など、アプローチの仕方やタイミングなど具体的なアドバイスを提示する(出所:AILL)
会話ナビゲーション機能では「スポーツバーに誘ってみると相手は受け入れる可能性が高い」など、アプローチの仕方やタイミングなど具体的なアドバイスを提示する(出所:AILL)