アメリカ留学時代にお茶のおいしさに目覚める

2011年に大学を卒業した後、機械エンジニアとして働いていた河野辺さんがスマートティーポットの開発に取り組むようになったのは、2014年からの米国留学がきっかけだった。MBAプログラムを学ぶためボストンの大学に通っていたとき、河野辺さんは寒い冬の間、1日中コーヒーを飲み続けていたため、胃腸に不具合を感じるようになっていた。そこでコーヒーをやめ、日本茶に切り替えると体調はすぐに良くなり、あらためてお茶の魅力に目覚めることになったのだ。

そして、「もっとおいしいお茶を飲みたい」と思うようになった河野辺さんは、あることに気づく。お茶の淹れ方は数値制御がしやすいという点である。つまり、茶葉の量や水量、抽出時間や抽出温度をきちんとコントロールすれば、お茶はいつでもおいしく淹れることができる。

河野辺さんがティーポットの開発をスタートするに当たって大きな力になったのは、同じ大学のクラスメイトにいたインド出身のソフトウエア・エンジニアであるマユレシュ・ソニ氏だった。彼のデータ収集やデータ解析の能力を活用すれば、お茶の楽しみ方をさらに高められることがわかったのである。こうして日本茶の国のハードウエア・エンジニアと紅茶の国のソフトウエア・エンジニアがタッグを組み、2016年にLOAD&ROAD米国法人(2018年には日本法人)を設立することになった。

ボストンの大学で出会い、LOAD&ROADの共同創業者となった取締役CTOのマユレシュ・ソニ氏(右)(画像提供:LOAD&ROAD)

初めての人でも、最高においしいお茶を淹れられる

現在、teploティーポットのアプリには、日本茶ばかりでなく、紅茶やウーロン茶など、20種類のお茶の抽出条件が登録されている。このデータベースは、お茶の生産者や専門家、愛好家のもとに河野辺さん自身が試作モデルを持ち込み、実際のテイスティングを何度も繰り返しながら確立したものだという。いわばお茶のプロたちと一緒に作り上げた手作りのレシピである。

また、LOAD&ROADではこのteploティーポット抽出条件に合わせ、300mlのお茶を淹れるのにちょうどいい茶葉のパッケージを販売している。公式茶葉を毎月15パックお届けするサブスクリプションサービスも開始した。このパッケージをティーポットと一緒に購入すれば、自分でお茶を淹れた経験がない人でも、その日から非常においしい緑茶や紅茶、ウーロン茶などを味わうことができるようになる。

teploティーポット、専用グラス、包装箱がそのまま立てられる公式茶葉パックセット(写真撮影:中島有里子)

自分の好みに合わせて、湯の温度や抽出時間などの設定を変えることも可能だ。さらに、お茶を飲んだ後には味の評価もフィードバックでき、それはスマートフォンのアプリに蓄積されていく。つまりteploティーポットは、初心者が簡単においしいお茶を淹れられるだけではなく、それまで勘や経験に頼っていたお茶の愛好家が、データを元に好みの味を徹底的に追求できるようになっているわけだ。

teploティーポットの利用方法。(1)ポットに水を注ぎ、茶葉をインフューザーの中に入れる。(2)アプリ内のお茶のデータベースから茶葉の種類を選択する。(3)センサーの上に指を置き、体調や気分、周囲環境のデータを解析。(4)自動で抽出条件を調整し、約5分で抽出完了(画像提供:LOAD&ROAD)