人気マンガ「もやしもん」とコラボ 日本酒缶の認知度を高める

マンガ「もやしもん」とのコラボ酒のパッケージ(画像提供:Agnavi)
マンガ「もやしもん」とのコラボ酒のパッケージ(画像提供:Agnavi)

Ichi-Go-Can(いちごうかん)プロジェクトを通じて、日本酒缶の知名度を高めたいと考えている玄さんの動きは止まらない。

まずは、全国100蔵の日本酒を日本酒缶として商品化することをもくろむ。「缶のデザインも印象に残りますし、『その蔵のお酒はこの日本酒缶を飲めばわかる』という姿を目指しています」

「180mL入りの缶は、手軽さと小容量という点においてポテンシャルはかなり高いと考えております。日本酒缶自体は60年前くらいからありますが、広まっていない現状がありました。ここ数年で充填設備導入のハードルも下がってきており、状況は大きく変わりました。この市場は広がると信じていて、それが消費量の落ち込む日本酒復活の切り口だと思っております」

2021年に入ると、東京農大を舞台に描かれた人気マンガ「もやしもん」とのコラボプロジェクトを仕掛けた。

その内容は、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を利用して、「もやしもん」のイラストが描かれた缶に農大生が醸した純米大吟醸「農学原酒」を詰めた缶を製造するというもの。

「日本中の農学生のバイブルである『もやしもん』とはいつかコラボしたいと考えていました。今回、作者の石川雅之先生と講談社にお願いしたところ協力いただけることになり、企画が実現。クラウドファンディングは目標を超える1100万円以上が集まり、手応えを感じました」

食や日本酒、発酵文化に興味のある人の間では抜群の人気を誇る「もやしもん」。そのイラストが描かれた日本酒缶は、まずはクラウドファンディング参加者の手に渡り、そこからじわじわSNSなどを通じて、着実に広まると筆者は見る。

「今回の日本酒の製造は松岡醸造に協力していただき、製造過程で割水(仕込み水)による加水調整をしていない原酒のため、濃厚な味が特徴。なので、ソーダで割るなどの新しい飲み方も提案したいと思っています」

伝統的な日本の食文化に新しい風、海外そして未来へ

「今回のプロジェクトを通じて、今まで日本酒を飲まなかった人、興味はあったけど手が出せなかった人が手に取るきっかけになればうれしい。日本酒のイメージを覆す飲みきりサイズ、おしゃれ、カジュアル、小さなカバンにも入るし、持ち運びやすい1合缶で伝統的な日本酒に新たな風を吹き込みたい」

玄成秀さん(写真提供:Agnavi)
玄成秀さん(写真提供:Agnavi)

そう語る玄さんの笑顔を見ていると、コロナが収束した新しい時代には、世界中のビーチや公園、夏の音楽フェス、週末のパーティー、スポーツ観戦、カフェやレストラン、キャンプやバーベキュー会場など、さまざまなシーンで、缶入り日本酒が人々を和ませ、楽しませる未来の風景が見える気がした。

先にも触れたように、日本酒には海外、あるいは日本酒に触れる機会がなかった若い世代にも売れる可能性がある。伝統ある日本の食文化が、若手世代のアイデアとイノベーションで息を吹き返し、世界も視野に入れて広がろうとする姿は、日本人には素直にうれしいと感じられることだろう。