50歳以上を生きることが楽しめる社会にする

──「白秋期を楽しむ」こと、そして「認知の置き換えが必要だ」とおっしゃいましたが、具体的にはどういうことなのでしょうか。

廣岡:現状、世間では「青春期が人生において楽しいピークで、そこからは下り坂」と認知されている向きが強いと思います。白秋共同研究所の提案をごく簡単に言うと、「人生の後半にもう一山作りましょう」ということですね。年配の方が、自分の人生の充実度を表現する際に「永遠の18歳です」とおっしゃることがありますが、それが青春期をピークと見なす認知の象徴といえるでしょう。

そうではなく、自分が白秋期であること自体を、胸を張ってアピールでき、白秋世代であることを楽しめるようにしていくのが理想です。実際、50歳代以上の方はおしなべて経験豊富で、人脈もお持ちです。成熟した年代の人だからこそ、できることがたくさんあるはずです。そのような認知を世の中に形成していく必要があると考えています。

白秋共同研究所による「白秋」世代の定義についての概念図(出所:白秋共同研究所)
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白秋共同研究所による「白秋」世代の定義についての概念図(出所:白秋共同研究所)

──日本には今、白秋世代の人はどのくらいの人数がいるのでしょうか。

廣岡:現時点では4121万人です。日本の全人口1億2644万人に対して、人口構成比としては32.6%です。

今後はどうなるかと言いますと、約10年後の2030年推計で50歳~84歳の人口構成比が46.2%となります。約15年後に当たる2035年推計を見ますと、50歳~89歳の人口構成比が50.6%となっています。

つまり、日本の全人口におけるかなりの比率が、白秋世代またはそれ以上になるわけです。ここから考えると、「白秋世代をどう盛り上げ、どう輝かせるか」という問いは、日本社会に大きな価値をもたらすと考えています。

概念実証と具現化、両方ができる場に

──白秋共同研究所を設立した経緯を教えてください。

廣岡:私が以前、コンサルティング会社で経営コンサルタントをしていた際、石川さんと一緒に仕事をさせていただく機会がありました。またフェリシモとも当時、出会いました。

石川さんは研究テーマの1つとして「ウェルビーイング(筆者注:主に「より良く生きる」という概念や幸福学を指す)」に携わっており、各所でその知見を発信されています。一方、フェリシモは、アパレルや雑貨などの商品開発やダイレクトマーケティングを通して、より豊かな生活を提供することを掲げて企業を展開しています。またフェリシモでは「フェリシモLX(ルクス)」という50歳代以上の女性をターゲットにした事業に取り組んでおり、まさに白秋世代の商品開発を成功させた実績を持っています。

両者は概念側と具現側で同じ考えを持っているわけで、その両方が一緒になって取り組んでいる例はありません。ですので、両者が一緒に取り組んだら面白いことが生まれるのではないかと考え、お互いをご紹介したのです。その際に石川さんとフェリシモの矢崎和彦社長が意気投合されたことが、研究所発足のきっかけになっています。矢崎社長ご自身も白秋世代であり、いわば当事者として関心を強く持たれていると思われます。

また、白秋共同研究所の事務局を務める私自身、人がより幸せに生きられるようにするというテーマに強く関心を寄せてきました。Wという会社を立ち上げ、子どもの保育をオンラインでサポートする事業や、家族の暮らし方という観点から住宅設計を支援するサービスの事業企画を支援してきました。これはまさにウェルビーイングに類する事業です。