全世界で1日あたり22.5億杯が飲まれているというコーヒー。ここ日本は世界第4位の消費国だ。この有望市場に、特徴的なスタートアップ企業が参入した。コーヒーの輸入販売を手がけるストーリーラインだ。スペシャルティコーヒーの輸入販売事業のほか、ルワンダにある生産農場への技術支援、健康市場の盛り上がりを受けたデカフェの開発など、多面的な取り組み内容が特徴だ。デカフェ化の技術開発では東北大学と組み、味に不満感がつきまといがちなデカフェコーヒーのイメージを刷新しようと挑む。近未来を見据えたしたたかな市場戦略とSDGs(持続可能な開発目標)の視点を併せ持ったコーヒースタートアップの事業を通じて、同社が紡ごうとしている「幸せな(コーヒービジネスの)物語」のビジョンに迫る。

2018年7月に設立されたストーリーライン株式会社は、高品質なスペシャルティコーヒーの輸入販売に特化したスタートアップである。現在、この会社ではコーヒー豆の仕入れとともに、生産農場への支援や、カフェインを取り除いたコーヒー、デカフェの開発にも積極的に取り組んでいる。生産者から消費者まで、コーヒーに関わるすべての人に幸せな物語を届けることにこだわるストーリーラインの取り組みについて、CEO(最高経営責任者)の北澤順子さんとCTO(最高技術責任者)の加藤和明さんに話を聞いた。

ストーリーライン株式会社CEOの北澤順子さん(右)と、同CTOの加藤和明さん(左)(写真撮影:中島有里子)
ストーリーライン株式会社CEOの北澤順子さん(右)と、同CTOの加藤和明さん(左)(写真撮影:中島有里子)

厳選されたコーヒー豆から生まれる最上級の味と風味

コーヒーは全世界での売上が10兆円にも達する巨大市場で、日本はアメリカ、ブラジル、ドイツに次ぐ世界第4位の消費国となっている。一般にコーヒー豆には大きく分けると4つのグレードがあり、缶コーヒーやインスタントに使用される低価格な「ローグレード」、量販店などに多く出回る「コモディティ」、ブルーマウンテンやハワイ・コナといったブランドで販売される「プレミアム」、そして、プレミアムを上回る最高品質のスペシャルティコーヒーに分類することができる。

「私たちが扱うスペシャルティコーヒーというのは、国際評価基準で100点満点中80点以上の高い評価を得たコーヒーで、すべてのコーヒー豆に占める割合は5%未満にすぎません。ブランドや生産国だけではなく、生産年や農園、ときにはそこでの生産ロットまで限定した本当においしいコーヒーなのですよ」と北澤さんはその魅力を教えてくれた。

生豆加工の違い。右から、(1)ウォッシュド製法。果肉をとった豆を水洗してミューシレッジというネバネバを取り除き発酵~乾燥させたもの。(2)ハニー製法。果肉をとった豆をミューシレッジがついたまま発酵~乾燥させたもの。(3)ナチュラル製法。果肉がついたまま発酵~乾燥させたもの。写真のこれら3つはまだ殻がついた状態なので、この後脱穀してグリーンビーン(生豆)として輸入される。一番左はウォッシュドの生豆を焙煎したもの(写真撮影:中島有里子)
生豆加工の違い。右から、(1)ウォッシュド製法。果肉をとった豆を水洗してミューシレッジというネバネバを取り除き発酵~乾燥させたもの。(2)ハニー製法。果肉をとった豆をミューシレッジがついたまま発酵~乾燥させたもの。(3)ナチュラル製法。果肉がついたまま発酵~乾燥させたもの。写真のこれら3つはまだ殻がついた状態なので、この後脱穀してグリーンビーン(生豆)として輸入される。一番左はウォッシュドの生豆を焙煎したもの(写真撮影:中島有里子)