コーヒー好きの二人がおいしいコーヒーを求めて起業

北澤さんと加藤さんがこの仕事に関わるようになったのは、二人ともコーヒーを大好きだったからにほかならない。

いまから20年ほど前、アメリカの大学で古代言語の助教授をしていた加藤さんは、そこでサードウェーブコーヒー(アメリカにおけるコーヒーブームの第3の潮流)に出会い魅了される。そして、2012年に帰国すると日本におけるスペシャルティコーヒーの普及につとめ、やがて輸入業者のコンサルタントとしてアフリカのルワンダにおけるコーヒー生産に関わるようになる。

コンサルタントとして訪ねたことから、ルワンダのコーヒーに魅せられた加藤さん(写真撮影:中島有里子)
コンサルタントとして訪ねたことから、ルワンダのコーヒーに魅せられた加藤さん(写真撮影:中島有里子)

一方、ビジネスのためアメリカのポートランドで暮らしていた北澤さんも同じ時期にスペシャルティコーヒーと出会い、愛飲するようになる。帰国後、北澤さんが購入したコーヒー豆が、たまたま加藤さんの仕入れていたものだったことから二人は知り合い、共同でストーリーラインを設立することになったのだ。

コーヒー農園の運営に関わり、ビジネスの継続性を高める

ストーリーラインの主要な取引先は、ルワンダ共和国のカリシンビCWSというウォッシングステーション(水洗加工設備をもつコーヒー輸出業者)である。ルワンダはアフリカの内陸に位置している。なおカリシンビという名前はルワンダの最高峰、標高4507mのカリシンビ山にちなんだもので、農場は標高2000m近い高地にある。

ここで生産されるコーヒー豆は非常に質が高いとされており、スペシャルティコーヒーのなかでも最上級の証である「カップ・オブ・エクセレンス2018」において12位という評価を得たこともある。ただし、そうした高評価もカリシンビの農園で働く人々の収入にはほとんど反映されず、彼らの暮らし向きはなかなか良くならないのが現状だという。

「私たちがコーヒーを販売して得た利益を農夫たちに分配しても、正直なところ、わずかな金額にしかなりません。それを彼らに現金で渡しても、すぐに使い切ってしまうに違いありません。そこでまず安定的な労働環境を提供するべく、私たちは約300名のカリシンビ生産者組合の農夫とその家族のため、売り上げの一部を1年間の健康保険にあてることにしました。こうすれば病気やけがをした時に生活の心配をすることなく、安心して暮らしていけるからです」と加藤さんは話す。

ルワンダ大使館コーヒー産業顧問も務める加藤さんは、このほか、それぞれの家族経営の農家にも技術教育などを行い、地域全体での生活レベル向上に力を注いでいる。

ルワンダ・カリシンビで生産者と語る加藤さん(写真提供:ストーリーライン)
ルワンダ・カリシンビで生産者と語る加藤さん(写真提供:ストーリーライン)