家族の妊娠をきっかけにカフェインレスに関心を持つ

こうしたなか、ストリートラインがデカフェを手がけるようになったのは、北澤さんの娘が妊娠したことがきっかけだったという。

「その頃、娘や赤ちゃんのことばかりでなく、私自身もカフェインの摂り過ぎが気になり始めていました。そこでデカフェをいろいろと試してみたのですが、値段が高いばかりで、おいしいものが見つからなかったのですよ」と北澤さんは笑う。

デカフェの価格が高くなってしまうのは、カフェインを除去する工場が欧米などの先進国にしかないことが一番の要因だった。加えて日本に輸入されるデカフェは人件費と物流コストがかかるため、それが価格に上乗せされる。さらに少しでもコストを抑えようと安い豆を使うことが多く、消費者の手元に届くまでの時間もかかりすぎるため、味や風味も落ちてしまう。

そこでストーリーラインでは、自分たちのスペシャルティコーヒーからおいしいデカフェを作り、消費者に直接届けることにしたのである。

「デカフェはおいしくなくても仕方がない、というイメージを払拭したかった。今は夜眠る前にもコーヒーが楽しめます」と語る北澤さん(写真撮影:中島有里子)
「デカフェはおいしくなくても仕方がない、というイメージを払拭したかった。今は夜眠る前にもコーヒーが楽しめます」と語る北澤さん(写真撮影:中島有里子)

カフェインをコントロールしながらコーヒーを楽しむ

2021年2月にストーリーラインが販売を開始した「Decaf & Co.(デカフェアンドコー)」は、これまでのデカフェのイメージを払拭するニューアイテムだ。

「Decaf & Co.」の3種類のデカフェ(写真提供:ストーリーライン)
「Decaf & Co.」の3種類のデカフェ(写真提供:ストーリーライン)

ベースとなっているのはストーリーラインが扱う十数種類のスペシャルティコーヒーで、そのそれぞれにカフェインそのままの「レギュラー」、低カフェインの「ハーフ&ハーフ」、カフェインレスの「デカフェ」という3タイプを用意している。これにより、体調や気分、シーンに合わせてカフェイン摂取量をコントロールできるようにした。

たとえば午前中、シャキッとした気分で仕事に取りかかりたければレギュラーを飲み、午後になったらハーフ&ハーフ、あるいはデカフェと少しずつカフェインの量を減らしていく。コーヒーを飲むと寝付きが悪くなるという人も、コーヒーを楽しみつつ睡眠への影響を減らせるというわけだ。

また、Decaf & Co.のデカフェは鮮度の良い豆に日本国内の工場でカフェイン除去を行い、注文を受けてから豆を焙煎するという販売方法を採っている。まさにストリートラインのこだわりが詰め込まれた「おいしいデカフェ」なのである。

北澤さんによると、すでに欧米では全コーヒーに占めるデカフェの割合が16%に達しているという。近年、日本でも健康志向からデカフェを選択する人は増えていて、さらに今後は人口の多い中国などでも高齢化が進んでいくことから、デカフェの需要は世界的にもさらに伸びていくと考えられている。

デカフェ加工後の豆の特性にあった熱風式焙煎機を導入し、独自のパラメーターで焙煎している(写真撮影:中島有里子)
デカフェ加工後の豆の特性にあった熱風式焙煎機を導入し、独自のパラメーターで焙煎している(写真撮影:中島有里子)