将来の目標はルワンダにデカフェの工場を作ること

Decaf & Co.の特徴であるカフェイン除去には、水と二酸化炭素のみを使用する脱カフェイン加工法が採用されている。この技術は「超臨界二酸化炭素抽出法」というもので、旨味成分の損失を最小限にしながら、安全に、かつ短時間でカフェインの除去が可能だという。

現在はこの技術と設備を保有する国内の製造会社に加工委託している。だが将来的には自社技術と自社調達の原料を用いて、より最適化された高品質なデカフェを作り出すことができるとする。同社は超臨界二酸化炭素抽出法に関して東北大学工学研究科とともに共同研究を進めており、この共同研究で創出する技術を適用する計画だ。

「近い将来、私たちはこの技術をルワンダに移転することを目指しています。もっと安く、もっとおいしいデカフェを作るには、やはり産地のルワンダに工場を作るのが一番なのですよ。もしこれが実現すれば、彼らのコーヒー豆の付加価値はさらに高くなり、日本ばかりなく世界中から引く手あまたになるでしょう」と加藤さんは言う。

ルワンダにおけるコーヒー加工の様子(写真提供:ストーリーライン)
ルワンダにおけるコーヒー加工の様子(写真提供:ストーリーライン)

先にも触れたように、健康志向の高まりを背に、世界のデカフェ市場は伸張する見込みだ。ストーリーラインが支援するルワンダの農園と工場から出荷されたデカフェコーヒーの評判が市場に伝われば、生産者の暮らし向きは改善し、コーヒー生産のさらなる安定化が見込める。この姿が実現すれば、消費市場、生産者、ストーリーラインそれぞれにメリットが生まれる。まさに「三方よし」のコーヒービジネスだ。

ご存じの方も多いだろうが、ルワンダでは1994年に内戦が勃発し、国民の20%が虐殺されるという悲惨な事件が起きた。現在、コーヒー農園で働く労働者の大半は、このときに家族を失った女性やその子どもたちなのである。

現地で、生産者たちとともに並ぶ加藤さん(写真提供:ストーリーライン)
現地で、生産者たちとともに並ぶ加藤さん(写真提供:ストーリーライン)

ストーリーライン(Storyline)という社名は、生産者から消費者まで、コーヒーに関わる全ての人々に幸せなストーリー(物語)を届けたい、という願いから付けられた。ルワンダ女性の自立支援を目指しつつ、より多くの人が幸せになれるサステナブルなコーヒー作りを目指して、ストーリーラインでは今後もさまざまな取り組みを行っていくという。国内に加えて海外販路も開拓し、2023年には世界市場に打って出る意向だ。