「スタッフ30人で70室」が「10人で140室」に

実はこの部屋自体も、見方によってはロボット化されている。部屋に最初に入る際にルームキーをかざすと、宿泊客の顔写真を撮影し、これを記憶する。次からは部屋の出入りにルームキーは要らない。ドア横のカメラの前に立って、パネルにタッチするだけで、顔認証によって解錠する(写真5)。同室の宿泊客の顔も撮影できるため、例えば子供が一人で外出から戻ってきたときでもルームキーなしで入室できる。部屋の内部には人感センサーが設置され、自動的に照明をオン/オフできるようになっている。今は照明コントロールだけだが、将来的にセンサーの種類やコントロールの対象を変えれば、もっとスマートな部屋を実現できるだろう。

(写真5)いったん部屋に入れば、次からは顔パス
(写真5)いったん部屋に入れば、次からは顔パス

ほかにも、庭では芝刈りロボットが、棟内の共有スペースでは掃除ロボットが常に働いている。売店も自動販売機が代役である。現在はまだテスト段階だが、ロビーにはコンシェルジュロボットがいて、宿泊客の質問に答えるようになっている。

ロボットでは対応できない場所の掃除や、客室の清掃・ベッドメイキングなど、人手による作業はまだ残っているものの、ホテル内にいてもスタッフとすれ違うことはほとんどない。それもそのはず。現在、2016年3月にオープンした2期棟を含めて部屋数は140。それをたった12人で運営している。「2015年7月の1期棟開業当初は30人だったが、運営しながら労力を見極め、スタッフの数を減らした。今では2期棟まで入れて12人。6月末までにさらに2人減らす。単純に考えても、生産性は2倍以上だ」(澤田社長)。

5つ星は従来通り、3つ星以下なら「変なホテル」でいい

澤田社長は、「超高級ホテルでは従来通り、人のホスピタリティが大切」とも考えている。例えばハウステンボス内でいえばオフィシャルホテルの一つであるホテルヨーロッパ。ここにはロボットは入れないという。

逆に、「5つ星以外、少なくとも3つ星以下のホテルは、全部ロボットホテルでいいと考えている。数で言えば、そういうホテルのほうが圧倒的に多い。これから世界に広げていこうとしているのもロボットホテルだ。これだけ生産性の高いホテルは、まだ他にない」(澤田社長)。

ロボットホテルでも、効率化・生産性の向上だけを求めているわけではない。生産性が高くても宿泊客に気に入られなければ意味がない。そのためには満足感を高める仕掛け、おもしろいと感じてもらえる仕掛けも必要だ。実際、変なホテルのフロントにロボットを置いたのは、おもしろさを醸し出すため(写真6)。端末だけでの無人受け付けも可能だが、それではビジネスホテル的で、リゾートには向かない。今後も、ホテル事業としての生産性と同時に、宿泊客にとっての利便性、快適性、おもしろさなどを追求していく構えである。

(写真6)変なホテルのフロント受け付けロボット
(写真6)変なホテルのフロント受け付けロボット