片付けから家事全般を行う家政婦ロボット

こう考えると、未来の掃除は掃除専用ロボットに行わせるのではなく、もっと汎用性のある家事ロボットが、洗濯や炊事とあわせてこなす方が効率的かもしれない。

Aeolus RoboticsはCES2018で、ピッキングの技術を搭載し、片付けだけでなく家事全般をこなしてくれる人型ロボットを発表した。車輪で移動し、2.5キロの重さまで耐える2本のアームを使ってものを運ぶなど機動性もある(写真3)。

ロボットは何千もの、ものの位置を記憶している。片付けに際しては、床にあるものをどうつかむかを自分で判断し、それがどこに置かれていたかを記憶から辿って元の場所に戻す。その後、市販の掃除機を使って床掃除までやってくれる。また、音声認識機能によって、人間が音声で指示することもできる。

まだ完全な家事ロボットの機能は実用化されていないようだが、Aeolus Roboticsは介護施設向けに見守りなどを行うヒューマン支援ロボットのレンタルサービスを、2019年8月から日本で提供する予定だ。

(写真3)Aeolus Roboticsが開発した家事手伝いロボット
AIによってものを認識して、もともとあった場所に戻すことができる(上)。市販の掃除機を使った床掃除も自律的に行う(下)。(The VergeのYouTube動画より引用)

人間と協働して家事を行うロボット

現時点でロボットに自律的に部屋の掃除や片付け、洗濯、炊事までを行わせるには、いろいろと不安がある。特に、ロボットに部屋の掃除を任せる場合、留守中に勝手にロボットが動き出すと何かにひっかかってものを壊したりしないかと不安になる。実用化されても当面は、ロボットに家事を任せるのは、人間が近くにいる時に限られるだろう。

ヒューマノイド型(人型)のロボットが実用的になるのだとすれば、ロボットに現行の掃除機を使って掃除させる手もありそうだ。ただこれも、単にロボットに掃除機を持たせるだけでは難しい。掃除する場所やごみの状態に応じて、掃除機のヘッドの角度をどのくらいにするのか、どれくらい圧力を掛けるのか、どれくらいの速さでどれくらいの距離を動かすのかなど、掃除ロボット以上に複雑な制御が必要になりそうだ。

これらの課題は、人間が解決すればいい。Mira Roboticsは、サービス利用者の家に置かれた家事ロボットを、人間が遠隔操作して家事を代行するサービス「ugo(ウーゴー)」の準備を進めている。ugoは、今後増加が見込まれる共働き世帯や高齢者世帯をターゲットに、家政婦ロボットを自宅に派遣するサービスだ。

家政婦ロボットを人間が遠隔から操作することで、ロボットが留守中に暴走していないかという不安は取り除かれる。また、道具を使った家事も、人間が操作するのなら使いこなせしやすい。従来の家政婦を自宅に派遣するサービスと比べて、他人を家に入れるという心理的負担も軽減できる。

利用者はスマートフォンの専用アプリから、ugoのオペレーターに家事を依頼する。ugoのオペレーターがロボットを操作するには、必ず利用者の許可が必要になる。また、ロボットが家事に必要な場所でのみ動くようシステムを適切に制御することで、許可されていない部屋には入れない。これによって利用者のプライバシーは守られ、利用者はいつでもアプリから作業状況が確認可能だ。

ugoで使うロボットは人型で、Aeolus Roboticsの家政婦ロボットのように車輪を使って家の中を移し、2本のアームで仕事をこなす。アームは上下に動かせるので、低い場所にも高い場所にも手が届くように作られている。片付けるものも人間が見て判断するので、新たに購入したものが何であるかをあらかじめAIに学習させておく必要もない(写真4)。

現時点では、掃除ロボットのように床の埃を吸い込む機能もないし、遠隔操作で掃除機などを使うこともできない。だが、人型なので将来的には人間と同じように道具を使えるようにもできるだろう。他にも、交通費や賄いの食費など、これまで家政婦を雇うにあたって必要とされてきた、さまざまなコストも削減できる。

Mira Roboticsは2020年初夏のサービス開始を計画しており、2019年夏にはまず洗濯物を取り出す、干す、たたむという洗濯の一連の動作から試験的に導入する。

(写真4)Mira Roboticsがサービス導入を計画している家政婦代行ロボット
通常の身長は約110センチだが最長では約180センチを予定しており、高い位置から低い位置までさまざまな場所での作業に対応できる。(ugoのプレスリリース素材より一部加工)