可食性デバイスの研究も進む

現時点での可食ロボットは、まだ可食材料の素材が限られているために単純な用途しか想定されていない。今後、ロボットに使われる各種のセンサーや電子回路なども可食材料で製造できれば、さらに高度な機能を持った可食ロボットが実現できそうだ。

■可食性センサー
チューリッヒ工科大学の研究チームは、可食性の素材を使った薄型の温度センサーの研究を進めている(写真3)。試作された可食性センサーは、厚さがわずか16μmで、人体の必須栄養素の1つであるマグネシウムでできている。その他にも、酸化シリコンと窒化シリコンも使われているが、こちらも無害だという。チップ全体はコーンとポテトのでんぷんで作った分解性のポリマーで包まれており、伸縮可能でくしゃくしゃにたたまれても機能する。

(写真3)チューリッヒ工科大学の研究チームが開発した可食性センサー(チューリッヒ工科大学のYouTube画像から引用)
(写真3)チューリッヒ工科大学の研究チームが開発した可食性センサー(チューリッヒ工科大学のYouTube画像から引用)

■可食性電子回路
イタリア工科大学の研究チームは、食品や医薬品錠剤に転写して食べられる電子回路を開発した(写真4)。可食性電子回路は、上記の可食性のセンサーやアクチュエータをコントロールするために必要だ。研究チームは転写可能なタトゥーなどに使われている転写シールの技術を応用し、有機的な電子部品を医薬品錠剤や果物といった食べられる物体の上に転写することに成功している。この可食性電子回路は、水溶性のデンプンなどによって1枚の紙に張り付いた、エチル・セルロース・ポリマーの薄いフィルムで構成されている。エチル・セルロースのフィルムは、すでに医薬品錠剤などに対する可食性コーティングとして、長い間にわたって使用されているという。

(写真4)イタリア工科大学の研究チームが開発した可食性電子回路(arxivのWebサイトに掲載されたイタリア工科大学の論文より引用)
(写真4)イタリア工科大学の研究チームが開発した可食性電子回路(arxivのWebサイトに掲載されたイタリア工科大学の論文より引用)

■可食性電池
カーネギーメロン大学の研究チームは、コウイカのスミから取り出したメラニンを使って、食べられる電池を開発している。コウイカのスミを陰極として使い、そこで酸化マンガンでできた陽極と電子をやりとりする。この可食性電池は、人間に飲み込まれた後、仕事が終わったら人体に害を及ぼさずに溶けてしまう。2013年に開発されたプロトタイプの寿命は5時間だったが、3年後に寿命は3倍になった。可食性電池は普通の電池と比べればまだまだ非力だが、シンプルなセンサーの電源としては十分だという。