人間の代わりに働いてくれるロボットは、すでにいろいろな分野で活躍している。製造工場で組み立てや塗装などの仕事をこなす産業用ロボットなどは1960年代から活躍しているし、最近では掃除ロボットや警備ロボット、厨房で料理を作ってくれる調理ロボットなどが実用化されている。今後は、AIを活用したお片付けロボットまで実現されようとしている。ロボットが活躍する場が製造業だけでなく、サービス業などにも広がっているのだ。そして、今注目されているロボットが、人間に代わりに接客をしてくれるおもてなしロボットだ。

おもてなしロボットを導入するメリットとしては、どのようなことが考えられるだろうか。もっとも大きなメリットが、日本社会が抱えている人材不足という課題の解決だ。サービス業の中でも、特に外食産業は景気の影響を受けやすいため積極的に正社員を採用しにくい。また、毎日不特定多数の来客者を相手に接客しなければならないため、事務職などと比べると職場環境でストレスが溜まりやすく人材も集まりにくい。

そこにロボットを導入すれば、24時間稼働させることもできるし、初期費用はかかるが月々の人件費がかからない分、コストパフォーマンスがよい。インバウンド市場に対しても多言語対応が可能だ。また、人間の従業員ならば、新たに採用するたびに一から仕事を教え込ませないといけないが、ロボットならば最初に仕事を覚えさせればあとは教育や研修の手間がかからない。

実証実験が続く飲食店で活躍するおもてなしロボット

ロボットがおもてなしをする飲食店は、日本各地で実証が進んでいる。老舗居酒屋チェーンである養老乃瀧は、東京・池袋にロボットがお酒を入れて接客してくれる「ゼロ軒めロボ酒場」を2020年1月23日から3月19日までオープンさせた(写真1)。

(写真1)養老乃瀧が期間限定でオープンした「ゼロ軒めロボ酒場」(養老乃瀧グループ公式ツイッターより引用)

注文方法は店内のレジでドリンクチケットを購入し、チケットに掲載されたQRコードをカウンターで読み込ませると、ロボットが自動的にドリンクを提供する(写真2)。生ビールなら約40秒、サワーやカクテル類の場合は約100秒で提供できるなど、人間のスタッフが対応する場合と同程度の作業時間となっている。

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(写真2)「ゼロ軒めロボ酒場」でのオーダーの仕方(養老乃瀧のプレスリリースより引用)

おもてなしの一環として、天井に設置したカメラの映像から利用客の位置や表情、年齢、性別などを識別して判断し、ドリンクを作りながら利用者の属性にあった言葉で話しかけて接客する。利用者の口角が上がる笑顔として認識。笑顔がもらえた接客を学習していき、以降は笑顔が多かったセリフを積極的に発する。

阪急阪神不動産と阪急阪神ビルマネジメントは、2019年11月9日から3カ月の期間限定でエビスタ西宮内のフードコート「STREET KITCHEN」に、AIロボットによるカフェシステムを導入した「Cave de Terreエビスタ西宮店 カフェロボット」をオープンした。

提供するドリンクの種類はブレンドコーヒーやカフェラテなど10種類。券売機でQRコード付きのチケットを購入し、チケット読み取り口で提示するとロボットがドリップマシンのボタンを押し、「カップを取り出す」「豆を豆をひく」「カップをセットする」「受け取り口にカップを置く」「ドリッパーを洗浄する」といった一連の動作を自動で行う(写真3)。

(写真3)「Cave de Terreエビスタ西宮店 カフェロボット」で使用されるおもてなしロボット(阪急阪神ホールディングスのプレスリリースより引用)

「ゼロ軒めロボ酒場」と同様に、カフェ内に設置されたカメラが利用客の顔を認識し、利用者の性別、年代、表情などに合わせて用意された「近くで見ると素敵な髪型ですね。どこの美容院に行っているか教えてほしいな」「今日は甲子園球場にでも行こうかな。誰か一緒に行く人はいないかな」など、約200種類のフレーズで話しかけておもてなしをする。