ウイルスや細菌などに紫外線を照射すると、細胞内のDNAが二量化反応、水和反応、分解などを起こして死滅すると言われている。米Xenex Disinfection Servicesの殺菌ロボット「LightStrike」は、キセノンによる発光を利用して紫外線を作り出し、病室や手術室、器材庫などの環境表面に断続的に照射して殺菌する(写真3)。Xenex Disinfection Servicesによれば、LightStrikeは室内の殺菌だけでなくN95マスクなどの医療装具の殺菌にも有効であることが確認されたという。

(写真3)病室やマスクにキセノンの発光による紫外線を浴びせて殺菌作業を行うXenex Disinfection ServicesのLightStrike(Xenex Disinfection ServicesのFacebookページより引用)
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(写真3)病室やマスクにキセノンの発光による紫外線を浴びせて殺菌作業を行うXenex Disinfection ServicesのLightStrike(Xenex Disinfection ServicesのFacebookページより引用)

デンマークUDV ROBOTSが開発した自律移動型殺菌ロボット「UVDR(UV-Disinfection Robot)」は、自動運転車などに採用されている、光を使った測距システムであるLiDARを搭載する(写真4)。施設内をスキャンしながらマッピングして、消毒が必要な部屋の形状をチェックした後は、自律的に移動しながら室内や空気中のウイルスや細菌を紫外線で殺菌する。部屋から部屋への移動中は紫外線を切り、自らエレベーターに乗って別の階に移動することもできるという。UVDRはすでに中国・武漢やイタリアなどの医療機関にも導入され、新型コロナウイルス感染症対策に活用されている。

(写真4)自律的に移動して病室内などを殺菌してくれるUDV ROBOTSのUVDR(UDV ROBOTSのホームページより引用)
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(写真4)自律的に移動して病室内などを殺菌してくれるUDV ROBOTSのUVDR(UDV ROBOTSのホームページより引用)

病院の入り口で患者のスクリーニングをしてくれるロボット

ウイルス感染症の院内感染を防ぐには、医療機関に来院する人の感染リスクを入り口で判断して、感染の疑いを持つ人を事前に選別(スクリーニング)することも重要だ。岡山中央病院では新型コロナウイルス感染症の院内感染を防ぐため、病院入り口でスタッフが非接触のまま来院者全員に対してスクリーニングを行うロボットの運用を2020年3月30日から開始した(写真5)。

(写真5)岡山中央病院でスクリーニングを行うロボットにはMJIの「タピア」が採用され、サービス開発にはシャンティが関わった(シャンティのホームページより引用)
(写真5)岡山中央病院でスクリーニングを行うロボットにはMJIの「タピア」が採用され、サービス開発にはシャンティが関わった(シャンティのホームページより引用)

岡山中央病院ではこれまでも入り口で看板やポスターなどを使って、新型コロナウイルス感染症の疑いのある人には来院を断る告知をするなどの対策を行ってきた。しかし、「ポスターに気がつかない」「自分は大丈夫」という来院者が多く、目立った効果に繋がらなかったという。そこで、ロボットのコミュニケーション機能を活用して、来院者全員にロボットが声がけをして注意喚起する。そして、ロボットに症状を回答してもらうことで医療スタッフが直接接触することなく、感染症の疑いを推測する仕組みを採用した。

ロボットはカメラで3メートル以内の人の動きを感知し、来院者に声がけをして問診を促す。次にロボットは来院者に手指消毒を推奨し、問診内容の発話と画面表示を行って画面上のボタンで回答してもらう。問診への回答によって、新型コロナウイルス感染症の疑いのある来院者だと判断された場合は、待機場所を案内してスタッフが来るまで待機するよう指示する。同時に、スタッフが持つスマートフォンにアラートを送信する。

従来は、来院者が受付に来て問診票を書いてもらい、その内容からコロナウイルス感染症の疑いを判断していた。コミュニケーションロボットを導入することで、人と人とが近距離で会話したり筆記用具を手から手へ受け渡したりすることもなくなる。また、感染の疑いがある来院者を一般外来の待合室を通さずに隔離できるので、院内感染の危険性が抑えられる。