ロボットは災害で被災したがれきの中や宇宙空間など、人間が入ると危険を伴う場所に行ってくれて、人間の代わりにいろいろな仕事をこなしてくれる。そんなロボットの役割も、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響によって変わっていくだろう。未来のロボット社会では、人間ができない仕事を代わりに任せるだけでなく、旅行や観光などのレジャーやエンターテイメント体験も、ロボットに頼ってしまうかもしれない。

人間が遠隔から乗り込んで操作し、ロボットの体で現地に行ったような体験を味わうアバターロボット。ソーシャルディスタンスの視点で考えると、このようなロボットを活用すれば移動時の交通機関の利用や、世界中から不特定多数の人が集まる観光地などでのウイルス感染リスクは防げるだろう。もともと、2020年はアバターロボットの本格的な活用が始まる「アバターロボット元年」になると見られていたが、コロナ禍の影響によってアバターロボットがさらに注目されることになりそうだ。

アバターロボットによる遠隔操作で味わうエンターテイメント体験

アバターロボットのプラットフォームサービスを提供するavatarinは、2020年4月1日からANAホールディングスの持ち株会社となり、空港オペレーションスタッフのテレワーク活用、休館中の水族館や美術館の遠隔での館内見学、大分県の商店街でのアバターを使った販路拡大、書店でのアバターを活用したコンシェルジュによる本の紹介、離れて暮らす家族とのコミュニケーションでの活用など、さまざまなサービスの提供を開始しようとしている。

avatarinはANAホールディングスによって法人化される前から、アバターロボットを活用したエンターテイメント体験サービスの提供事例として、「沖縄美ら海水族館の遠隔見学」や「日比野克彦展の先行体験」などを実施している。

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(写真1)遠隔からアバターロボットで沖縄美ら海水族館を見学している様子(写真提供:沖縄美ら海水族館)

「沖縄美ら海水族館の遠隔見学」では、3月12日と13日の2日間、開南児童クラブ(沖縄県那覇市)にいる児童がアバターロボット「newme」を操作して、沖縄美ら海水族館の見学を行った(写真1)。児童たちは、2台のパソコンを使ってアバターロボットのプラットフォームにアクセス。1時間半かけて水族館に設置されたnewmeを操りながら、熱帯魚の海水槽やサメ博士の部屋水槽、黒潮の海水槽に接続し、最後にジンベエザメの給餌を見学した。

「日比野克彦展の先行体験」は、avatarinが提供するmuseumのサービスを人数限定で先行体験するイベント。日本橋三越本店に新たにオープンしたギャラリーで、3月18日から30日まで開催された日比野克彦氏の個展「Xデパートメント 2020」を、アバターロボットで鑑賞(写真2)。参加希望者は事前にパソコンからavatarinのサービスを予約しておき、予約時間になったら自宅からnewmeにアクセスして会場内を自由に移動しながら作品を鑑賞した(図)。

(写真2)「日比野克彦展の先行体験」のイメージ(写真提供:日本橋三越本店)
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(図)avatarinのサービス予約画面(avatarinのWebサイトより引用)