日本で有人飛行を公開したSkyDrive

空飛ぶクルマの完成を目指し、自動車や航空関連の若手技術者などが参加して発足した開発集団「CARTIVATOR」の中心メンバーが2018年に創業した「SkyDrive」は、2020年8月に空飛ぶクルマの有人飛行を公開した。公開されたのは1人乗りの「SD-03」と呼ばれるeVTOLタイプの機体で、パイロットが操縦するがコンピュータ制御のアシストによって飛行を安定させた(動画2)。

(動画2)SkyDriveが公開した空飛ぶクルマの有人飛行(映像提供:SkyDrive)

SkyDriveが目指す空飛ぶクルマは機体の前後左右4カ所にローターを配置し、1カ所あたり2つのモーターが回転して駆動力を生み出す。これら8個のモーターの回転を制御して、飛ぶ方向を変えたり飛行速度を調整する(写真2)。さらに、モーターの一部に異常が発生しても他のモーターがバックアップの役割を果たしながら安全に飛行を続けるられるように設計されている。

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(写真2)有人飛行を成功させた機体と同型の「SD-03展示モデル」(撮影:元田光一)

実用化を目指している空飛ぶクルマは縦に並んで乗る2人乗りで、日本の一般的な駐車場2台分に収まるように全長4メートル、幅3.5メートル、高さ1.5メートルとし、自動車の普通免許でも操縦できるように自動的に姿勢制御が行えるメカニズムを搭載(写真3)。飛行速度は時速100キロメートルで高度は500メートル以内、航続時間は20~30分を目指している。

(写真3)SkyDriveが実用化を目指す空飛ぶクルマのコンセプトモデル(SkyDriveのWebページより流用)

今後の開発計画として、2023年度には海の近くなどで観光利用のサービスを開始する。車や電車で行くと遠回りになる場所を空で結ぶ。ただ、その段階では地上の走行はまだ想定していない。その後の計画について、SkyDrive 最高技術責任者の岸 信夫氏は、「2028年頃には地上での走行と自律飛行が可能なパーソナルユースのスポーツカーのようなクルマを作りたい」と語る(写真4)。

(写真4)三菱重工、三菱航空機にて戦闘機、旅客機などの開発に従事した後、2020年4月からSkyDriveの最高技術責任者に就任した岸 信夫氏(撮影:元田光一)

SkyDriveが描く空飛ぶクルマの利用目的は、パーソナルユースだけではない。「ヘリコプターの場合は上空からそのまま垂直には降りられないので、例えば緊急時にドクターヘリが患者のところに向かっても着陸する場所を探すことに時間がとられる。eVTOLタイプの空飛ぶクルマならば、乗用車2台分のスペースがあればどこにでも降りていけるので、さまざまな状況において活躍の幅が広がりそうだ」(岸氏)。