二足走行ロボットについては、ようやく実用化に向けた取り組みが少しずつ目立つようになってきた。一方で二足走行ロボットと同じように、足を使って移動する中型犬のような四足歩行ロボットの方は、すでに市販される製品もいくつか登場している。現在、四足歩行ロボットにはどのような種類があり、どういった用途で活用されようとしているのか。

四足歩行ロボットは四足動物を模倣して、四本の足でフレキシブルな運動ができる潜在能力を持たせたロボットだ。二足歩行ロボットより優れた安定性を持ち、また六足歩行ロボットよりシンプルな機構を持つ、実用的で将来性の高い移動型ロボットである。

二足歩行ロボットの実現では、まず2本の足で安定して立つという課題に挑戦する必要があった。どんな姿勢でも安定して立てるようになれば、後は人間のように交互に足を動かせば移動できる。一方、四足歩行ならば、立ったままの静止は簡単なので、昔から玩具などでも四足歩行する動物のおもちゃなどが作られていた。とはいえ、ロボットとして人間を支援する機能を与えたり、どんな環境でも転倒せずに歩けるようになるにはさまざまな研究が必要だった。

なぜ、四足歩行のロボットが必要なのか。二足歩行ロボットの記事でも触れたように、単に地上を移動するだけならば、回転する車輪を使った方が安定した姿勢で高速に移動できる。荒れ地を移動する場合も、キャタピラーと呼ばれるような無限軌道を使った方が楽に制御できる。一方で、人間は車輪を使った移動手段に関して限界を感じている。建築物や道路など、人工的に作られた環境ならば車輪での移動が便利だが、地表の大部分は山地や丘陵、絶壁など、車輪や無限軌道では走行できないさまざま地形に覆われている。

そして、自然界で生活する動物のほとんどが四足歩行をしており、走る速度を比べても二足歩行の人間はほとんどの四足歩行動物に追いつけない。こうしたことから、本来陸上での生活には四足歩行の方が向いているように思え、さまざまな環境で四足歩行ロボットのメリットを生かそうとしている。

車輪とのコンビネーションで歩行する四足歩行ロボット

四足歩行ロボットといえば、ニュース映像や動画サイトなどでBoston Dynamicsの「Spot」の姿を見ることも多いだろう。しかし、世の中にはSpot以外にも、中型犬のような大きさで、さまざまな路面を安定して移動できる四足歩行ロボットがいくつか存在している。

Spotは当初、人間の手によってプログラミングされて複雑な動きを可能にしていた。最近では、転倒しても自律的に起き上がれる機能も身につけたようだが、ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)が開発した四足歩行ロボット「ANYmal」は、強化学習と呼ばれる手法をシミュレーションと組み合わせることで、当初から転倒しても自律的に起き上がれるように訓練されてきた(写真1)。

(写真1)ETH ZurichからスピンオフしたANYboticsが開発した四足歩行ロボット「ANYmal C」(ANYboticsのインスタグラムより引用)
(写真1)ETH ZurichからスピンオフしたANYboticsが開発した四足歩行ロボット「ANYmal C」(ANYboticsのインスタグラムより引用)

重要なのは、ANYmalが起き上がる方法は人間が教えたのではなく、ロボットが自ら学んだことだ。ロボットが自らトラブルに対処できるようになれば、人間が踏み入れたことのない未知の環境でも安心して送り出せる。

ETH Zurichのロボット開発チームからスピンオフしたANYboticsは、四足歩行とホイール走行のコンビネーションによって長距離の省エネ移動ができるANYmalの動画も公開している(動画1)。整地された場所や凹凸の少ない環境では脚の先端に装着した車輪で素早く移動し、車輪での移動が難しい不整地では四足歩行のメリットを発揮して移動するなど、ダイナミックでボーダレスな活躍が期待できる。

(動画1)四足歩行とホイール歩行が可能なANYmal(ETH Zurich Robotic Systems LabのYoutube動画を引用)

用途に応じて手軽に導入できる四足歩行ロボット

Spotは2020年6月から米国でオンライン販売が始まったが、当初の価格は約800万円となっている。これに対し、中国のUnitree Roboticsが開発した四足歩行ロボット「Unitree A1」は、日本では2020年5月から128万円で販売が開始された(写真2)。

(写真2)Unitree Roboticsが開発した四足歩行ロボット「Unitree A1」(TechShareのホームページより引用)
(写真2)Unitree Roboticsが開発した四足歩行ロボット「Unitree A1」(TechShareのホームページより引用)

Unitree A1はSpotよりも小型だが、本体にジャイロセンサー、足先には力覚センサーが搭載され、力覚情報とジャイロの姿勢情報によるフィードバック制御によって、凸凹のある野原や荒れ地、段差のある道路、階段などの外乱の大きい環境でもスムーズに歩行できるように設計されている。平地では最大11.8km/hの速度で走行でき、バク転などもできる高い運動性能を実現している(動画2)。

Unitree A1は最大積載重量5kgでバッテリー駆動時間は1~2.5時間だが、大型犬サイズで最大積載重量が10kg、4時間のバッテリー駆動時間が可能な「ALIANGO」も開発するなど、Unitree Roboticsは用途に応じた四足歩行ロボットを展開している。

(動画2)軽快に走る「Unitree A1」(Unitree RoboticsのYoutube動画を引用)

他にも、個人でも四足歩行ロボットが購入できるように、中国のWEILANは約60万円という価格設定で「AlphaDog」を発売している(動画3)。

(動画3)WEILANが開発した「AlphaDog」(WEILANのYoutube動画を引用)