産業の現場に広がる四足歩行ロボットの活用事例

四足歩行ロボットの活躍が期待されている分野の1つが、保守点検を行うパトロールロボットとしての役割だ。定期的な点検作業が必要となる現場に異常がないか、作業が計画通りに行なわれているかなどを調査・記録するために360度カメラなどを搭載し、予め設定したルートに沿って自律歩行させる。車輪で動くロボットと違って、四足歩行ロボットならば足場の悪い工事現場でも稼働できる。

海外では、石油ガス会社のAker BPがノルウェー海の油田の警備にSpotを採用することを発表しているが、日本でも四足歩行ロボットを活用する事例が徐々に立ち上がっている。電力業界では中部電力が、電力設備の巡視業務において、Spotに自律的な巡回や安全点検などの業務を担当させると発表した(写真3)。建築業界でも竹中工務店、竹中土木、鹿島建設の3社が、Spotの建築・土木分野での実用化に向けた共同研究の開始に合意したと発表している。

(写真3)中部電力によるSpotの活用例(中部電力のプレスリリースより引用)
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(写真3)中部電力によるSpotの活用例(中部電力のプレスリリースより引用)

公園管理の実証実験で四足歩行ロボットの有用性を実証

通信設備など、社会インフラの保守点検業務の効率化に取り組んでいるNTTコムウェアは、奈良市の平城宮跡歴史公園で実施される社会実験「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」において、四足歩行ロボットを活用した検証を行うと発表した。

現在、平城京跡歴史公園では巡回員がほぼ徒歩で1日20Km以上、8時間かけて歩いて巡回業務を行っている。「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」では、ドローンやロボットなどを活用して点検データを集積し、AIによる画像解析での「自動巡回点検検証」を実証しようとしている(写真4)。

(写真4)「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」でNTTコムウェアが活用する四足歩行ロボット(写真提供:NTTコムウェア)
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(写真4)「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」でNTTコムウェアが活用する四足歩行ロボット(写真提供:NTTコムウェア)

ドローンを使えば空中から見える範囲のデータは集められるが、軒下や地面など地上からでなければ確認できない場所もある。昨年度は電動カートに自動運転機能を搭載して地上でのデータ収集を試みたが、公園なので舗装されていない道も多く、ちょっとした段差や溝を越えることが難しかった。そこで、広大な土地を巡回するために、不整地での移動に適している四足歩行ロボットの頭部にカメラを搭載し、随時写真を撮影して地上のさまざまなデータを収集することにした。

実際に四足歩行ロボットを手動運転で動かしてみると、車輪による移動と比べて意外と転倒リスクが高いことに気がついたという。横から押したりしても簡単には転倒しないが、「前足だけ段差や穴にはまってしまうと姿勢を崩して転倒することがある」(NTTコムウェア)。

今後NTTコムウェアはこうした課題の解決とともに、施設の中から四足歩行ロボットの遠隔操作を行ったり、自動巡回機能などを実装し、効率的に画像データが収集できないかなどの検討を進めていくという。