社会の変化によって、日本でもワークスタイルが大きく変わりつつある。オフィスに行かなくても自宅などからオフィスワークに参加するテレワークという働き方は、もはや一部の職種に限られた特殊なワークスタイルとはいえなくなってきた。これまでテレワークは、プログラマーやクリエイターなど、パソコンだけで完結できる仕事に関わるホワイトワーカーが中心になって活用していた。従来はテレワークに不向きと考えられてそれら以外の職種でも、アバターロボットの利用によってテレワークの活用が可能になりそうだ。

人材不足に悩む建築業界では現場監督をテレワークに

少子高齢化に伴う労働力人口の減少によって、建築・建設業界は慢性的な人材不足に悩まされている。例えば、建築業界では現場で職人に指示したり工事の進捗管理を担ったりする、現場監督の人手が足りていない。そもそも、現場監督を抱える施工会社には、現場監督を任せる人材によって品質や工事完成後の粗利に差が出たり、現場監督だけが現場の情報を知っているため社内に情報や知識、ノウハウが蓄積されなかったりなどといったことが以前から課題とされてきた。一方、現場監督にとっても、現場では落ち着いてメールや図面などがチェックできず、顧客や職人からのクレーム対応に追われたり、忙しくて顧客との設計打ち合わせができなかったりといった悩みがある。

そこで、建設業界でも現場に行かずに、オフィスや自宅、カフェなどからパソコンやスマホなどを使ってテレワークで現場管理の業務が行えるサービスが開発された。ログビルドが提供する現場監督業務のテレワークサービスでは、遠隔操作によってリモート施工管理を実現するアバターロボット「Log Kun」が活用される(写真1)。

(写真1)現場監督の仕事をテレワーク化するアバターロボット(ログビルドのホームページより引用)
(写真1)現場監督の仕事をテレワーク化するアバターロボット(ログビルドのホームページより引用)

Log Kunは場所や有人無人問わず、リアルタイムに現場状況を可視化し、パソコンやスマホ、タブレットから操作して移動でき、写真撮影や現場の職人との音声通話も可能にする。また、ロボットに装着したタブレットの画面に情報を表示させて施工指示を行うことで、進捗確認や安全管理、品質チェックを遠隔から実施できる。それらの情報は、リアルタイムに監督や設計士、コーディネーターなども共有できるので、スタッフ全員で確認しながら工程管理や品質管理を行うことが可能だ。ログビルドはアバターロボット以外にも、VR空間上で遠隔から建設現場の情報を可視化するサービスも提供する予定である。

建設現場の検査業務をアバターロボットでテレワーク化

建築業界と同様、人材不足に悩む建設業界では、若手を獲得してベテランの経験技能を継承するという従来の手法のみでは、現場職員の人材不足を補うことが困難であると見ている。例えば、橋梁の建設現場では施工管理の一環として多岐にわたる品質管理業務が行われているが、そこには現場主義が重んじられ、人手による実測が主体となっている。実際には、現場職員が直接現場に行って作業員などと実測業務を行っているが、職員は工事の進捗管理等に加え、測定データの収集、分析、整理、帳票作成などにも多くの時間を費やしており、現場の品質保証能力を高めつつ、生産性向上のために時間短縮や工数削減などに関わる技術開発を行うことが喫緊の課題となっている。

川田工業、川田テクノロジーズ、芝浦工業大学が共同開発したのは、アバターロボットを活用して建設現場の品質・出来形管理業務をテレワーク化するシステムだ(写真2)。現場のアバターロボットが取得した橋梁の品質・出来形測定データをクラウドサーバに転送して自動帳票化し発注者と共有可能にすることで、測定業務の全面的なデジタル化やリモート化を図るという(図)。

(写真2)建設現場で多岐に渡る測定業務をテレワーク化するアバターロボット(川田工業、芝浦工業大学、川田テクノロジーズのプレスリリース画像)
(写真2)建設現場で多岐に渡る測定業務をテレワーク化するアバターロボット(川田工業、芝浦工業大学、川田テクノロジーズのプレスリリース画像)
(図)アバターロボットによる遠隔検査サービス(川田工業、芝浦工業大学、川田テクノロジーズのプレスリリース画像)
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(図)アバターロボットによる遠隔検査サービス(川田工業、芝浦工業大学、川田テクノロジーズのプレスリリース画像)

これによって、現場職員に代わって、店社職員や在宅勤務者が複数の現場の品質管理や、施工された構造物が発注者の意図する規格基準に対して、どの程度の精度で施工されたかを管理する出来形管理を可能にする。また、発注者が遠隔から立会できるようになるので、工事の生産性と品質保証能力をともに高めることにも期待されている。川田工業では、今後建設業界にテレワークを主体とした働き方を定着させ、「デジタル世界の働き手=アバター・パイロット」という職域の確立を目指すという。