我々の生活の中で、ロボットが身近な存在になりつつある。例えば留守の間に家の中を掃除してくれるなど、家庭にいて私たちの生活をサポートしてくれるロボット。ほかにも、特定の作業を代行してくれるのとは違い、「人のそばにいること」を仕事とするロボットが次々に登場している。いわゆるコミュニケーションロボットだ。

人工知能(AI)をはじめとする技術の進化によって、人と対話することを仕事とするロボットが続々と登場してきた。それらのロボットは、コミュニケーションロボットと呼ばれる。代表例は、ソフトバンクロボティクスとアルデバランロボティクスが共同開発し、2015年6月から国内で一般販売を開始したPepperである。

コミュニケーションロボットには、大別して2つのタイプがある。一つがロボットにAIを搭載して人間とロボットが会話するタイプ。我々が子どもの頃からアニメなどを通して親しんできたヒューマノイド型のロボットだ。自律的に動いたり、人と会話したりする。挨拶を交わしたり、簡単な決まった内容の質問に答える程度ではあるが、使い方次第では役立つ場面がある。もう一つは、ロボット自身が人と対話するのではなく、その助けの役割を担うタイプ。AIなど自律的に動く仕組みは搭載していない。代わりに、ロボットが遠隔から体験を伝えるなどの役割を果たせるようになっている。以下ではまず、2つのタイプの代表的なコミュニケーションロボットを取り上げ、現状を見てみよう。

AIが人の言葉を理解し、自律的に会話

AIによって人とロボットが会話するタイプのコミュニケーションロボットの中で、知名度が高いのはやはりPepperだろう(写真1)。小売店や銀行、地方自治体などさまざまな企業・団体が接客係として店頭や窓口に設置しており、街中で見かける機会も増えている。2016年8月には米国でもハイテク製品のチェーン店で販売員に採用された。今後は海外での露出も増えそうである。

Pepperの他のコミュニケーションロボットにない大きな特徴は、10インチのタッチディスプレイを持つこと、身長が121㎝と小学2~3年生くらいの大きさであること、そして自走できることだ。特に自走機能は1.5cmまでの段差を越えることができるなど、バリアフリー住宅をはじめ屋内外でいろいろと活躍できるように設計されている。

(写真1)アルデバランロボティクスとソフトバンクロボティクスが共同開発したPepper

富士ソフトが開発したPalmi(販売はDMM.com)もPepperと同じように人型のロボットだが、身長は40㎝と卓上サイズだ(写真2)。富士ソフトは先にPALROというコミュニケーションロボットを開発しているが、PALROが高齢者福祉施設向けにエンターテイメントの要素が強められているのに対し、Palmiは一般家庭に溶け込んで家族として見てもらえるよう、表現力を進化させてある。

(写真2)富士ソフトが開発したPalmi

Palmiと同じ卓上型サイズのロボットとしてはSotaもある(写真3)。ヴイストン、NTT、NTTデータが共同開発したロボットプラットフォームだ。ただし、カメラ、マイク、スピーカーは搭載されているものの、対話機能は別途実装する必要がある。

NTTデータでは金融機関での顧客対応業務に着目し、2016年4月から8月まで、岩手銀行、福井銀行、京都銀行の顧客対応エリアにSotaを設置。住宅ローンや教育ローンなどの、対話型商品を窓口で紹介する実証実験を行った。NTT東日本が2016年9月にサービスを始めたクラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」の対応ロボット第1弾もSotaである。同社はNTTグループのAI技術「corevo」(コレヴォ)を使って双方向の会話機能を実装。介護事業などでの採用を促進する。

(写真3)ヴイストン、NTT、NTTデータが共同開発したSota

米国でAIを、韓国でハードウエアを開発しながらも、日本で今秋にも先行発売されるのがAKAのMusioである(写真4)。日本においては、英語教育の分野で市場開拓をしようとしている。日本語のAIエンジンは現在開発中で英語でしか会話できないが、話しかけた英語が間違っていると添削してくれたり、発音を矯正してくれたりと、日本人の英語学習をサポートしてくれる。また、カードに描いてある絵を読み込んで英語で説明してくれたり、後から手の先にセンサーなどを付けてハードウエアを拡張することもできる。

(写真4)米国生まれのMusioは日本ではソフトバンクから発売される予定
英語教育用に、レベルや目的に合わせた専用教材が用意されている。