人と人のコミュニケーションをサポート、手法は様々

次に、もう一つのタイプのコミュニケーションロボットを見てみよう。このタイプの代表的なロボットが、オリィ研究所が開発したOriHimeである(写真5)。本来OriHimeは、病気や事故、障害などによってベッドに寝たきりで部屋から外に出られない人の分身用として開発された。外の世界を、ロボットを通して体験できるようにする。病室にいる利用者はiPadやiPhoneといったOriHime操作用のデバイスを持ち、他の人が外に持ち出したOriHimeを遠隔操作する。OriHimeの目(カメラ)や耳(マイク)を操作して、外の景色を見聞きし、ライブの雰囲気を体験できるわけだ。

(写真5)オリィ研究所が開発したOriHime

ATRと大阪大学の共同開発であるテレノイドも、遠隔から操作して人と人がコミュニケーションするタイプのロボットである(写真6)。OriHimeと同じように首や手を動かすことができる。特徴的なのは、そのデザイン。男性にも女性にも、子供にも大人にも見え、対話に重要な目を中心にして周辺に向かって徐々に簡略化されていくデザインになっている。これは、一目で人間と分かるが、誰であるかが分からないようにするためである。

(写真6)ATRと大阪大学が共同開発したテレノイド

ユカイ工学が開発したBOCCOは、片手で持てるサイズのロボット。コンセプトは、留守番中の子どもの見守りを助けるコミュニケーションロボットだ(写真7)。BOCCOにはAIも搭載されていないし、OriHimeやテレノイドのように人と人が直接会話する機能も搭載されていない。使い方としてはスマートフォンと連動し、外部から音声やテキストでメッセージを送ると、自宅にあるBOCCOがそれを再生してくれる。逆にBOCCOにメッセージを録音して、スマートフォンに送ることもできる。これによって、留守番中の子供にスマートフォンなどを持たせることなく、いつでも両親がコミュニケーションをとることができる。また、付属のセンサーをドアに取り付けると開閉を両親のスマートフォンに知らせてくれるので、遠方から子供の帰宅を確認することができる。センサーはBluetoothやWiFiによって、8個まで追加可能。SIMカードを内蔵したモデルも開発中とのこと。コミュニケーションロボットとしての機能は少ないが、低価格でボタンはボリュームと録音、再生の3つしかなく子供から高齢者まで簡単に利用できるUIが特徴だ。

(写真7)ユカイ工学が開発したBOCCO

BOCCOと同種の、コミュニケーション手段を提供するロボットは他にもある。例えばロボットクリエーターの高橋智隆氏の協力によってシャープが開発したRoBoHoN(写真8)。SIMカードを挿入してスマートフォンとして利用できる。このため、片手で持って通話できるサイズとなっている。屋外での利用も想定しており、専用キャリングケースが別売りで用意されている。音声認識機能を搭載し、利用者からの質問や要望にも音声で返答する。スマートフォンのように専用のアプリをインターネットでダウンロードして、機能を拡張することも可能。また、プロジェクター機能を備えているので、インターネット上の動画やホームページを検索して白い壁などに投影することができる。

(写真8)シャープが開発したRoBoHoN
タッチパネルを使って電話をかけたり、プロジェクターで動画を投影することができる。

MJIが開発したTapiaは、卵のような形で机上において利用する、見守り機能を搭載したコミュニケーションロボット(写真9)。RoBoHoNと同じようにSIMカードを差し込んで電話として使うことも可能だが、屋内でテレビ電話などとして使うことを想定している。また、PepperのようにAI機能によって自律的に会話することができ、一人住まいの高齢者宅に設置した場合、Tapiaは利用者との会話の様子を離れて暮らす家族のスマートフォンに報告してくれる。また、利用者がTapiaからの呼び掛けに一定時間応答しない場合は、自動的に家族に連絡をとってくれる。Tapiaのカメラを使って、スマートフォンから部屋の様子をモニタリングすることも可能だ。

(写真9)MJIが開発したTapia

次回は、コミュニケーションロボットの役割として、どのような用途が考えられるのか、事例を交えて紹介する。

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