鳥型ロボットはなにに役立つのか

「羽ばたき飛行ロボット」の研究を進める九州工業大学 大学院情報工学研究院 准教授の大竹博氏は、鳥のようなメカニズムで空を飛ぶロボットのメリットについて「飛行機やドローンなどは、飛行中はエンジンを回し続けなければならないので、常にエネルギーを消費している。鳥型ロボットならば、渡り鳥が長距離を移動する際に気流の変化などを利用するように、いろいろとエネルギーを節約しながら効率よく飛べる」と述べる。「翼の関節をうまく使って、強風でも墜落しにくい構造になっているので、こういった知見をうまく取り入れると航空機のさらなる進化にも役立てるかもしれない」(大竹氏)。

大竹氏によれば、鳥は翼を使った高効率の飛行制御だけでなく、それ以外にも飛行ロボットに取り入れたいさまざまな特徴を持っているという。例えば、鳥は短距離の離陸や着陸が可能で、固定翼の飛行機とちがって飛行時以外は翼を折り畳んでおけるので専有面積も小さい。さらに、脚を使って2足歩行もできるし、その脚でものを掴んだまま飛んでいける。

じつは、この脚のメカニズムにも特徴がある。鳥はふくらはぎから続く筋肉が足首以降で腱になっていて、それぞれの指までつながっている。こうした構造によって、上から体重を掛けると腱が自動的に引っ張られて足の指が閉じる。さらに、腱鞘にもロック機構を持つことで、常に足の指が閉まった状態になり、鉤爪を食い込ませることで安定して木の枝や電線を掴んだり、ものの把持ができる(動画4)。鳥が木の枝に止まったまま落ちずに寝ることができるのは、このような構造だからだ。

(動画4)鳥の脚が枝を自動的に掴むメカニズムをロボットで再現した実験(動画提供:九州工業大学 大竹博氏)

では、鳥型ロボットはどんな用途に向いているのだろうか。その1つが、前述のBionicSwiftのように、屋内の空いたスペースを使ってものを運ばせることだが、大竹氏は人間にものを届ける際にも鳥型ロボットならではのメリットがあるという。ドローンを使った場合、高速で回転するプロペラがあるので人間の側に近づけるのは危険だし、大きな音も人に恐怖を感じさせる。それに比べると、人間は鳥には日頃から親しんでいるし、柔らかい翼を持つ鳥型ロボットならば危険を与えにくい。「例えば伝書鳩のように、人間から人間にダイレクトにものを届ける用途に向いているのではないか」(大竹氏)。

とはいえ、鳥型ロボットを実現させても用途が限られているので、生物模倣(バイオミメティクス)や生物規範工学などの研究によって、鳥のメカニズムをいかに他のロボットや新しい航空機の開発などにつなげていくかが重要になるという(図)。

(図)鳥型ロボットの研究が次世代の飛行体を生み出す(資料提供:九州工業大学 大竹博氏)
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(図)鳥型ロボットの研究が次世代の飛行体を生み出す(資料提供:九州工業大学 大竹博氏)