東京2020オリンピックの開会式では1824機のドローンが連携し、今大会のシンボルマークとなった市松模様や地球の姿などを夜空に立体的に浮かび上がらせ、海外からも大きな注目を浴びた。また大会開催中も、ドローンは陸上だけでなく海上からもさまざまな競技の様子を空から撮影し、臨場感溢れた映像を茶の間に届けてくれた。今や、ドローンは個人が趣味で楽しむ道具ではなく、社会課題の解決や新たなサービス創造に向けて、さまざまな産業分野でも活用が期待されている。

ドローンの自動航行実現に向けた4段階の飛行レベル

「ドローン元年」と呼ばれた2015年、ドローンはいくつかのセンセーショナルな話題で世間から注目を浴びることになる。1月にはアメリカのホワイトハウスの敷地内にドローンが墜落、4月には日本の首相官邸屋上に、放射性物質を搭載したドローンが落下。こうした事件がきっかけとなり、各国でドローンを規制する動きとなった。日本でも2015年12月に改正航空法が施行され、質量200g以上のドローンについては、許可・承認申請なしに夜間や人口集中地区で飛行をした場合には罰金が科さられる。その頃になると、世間の目もドローンが頭上を飛ぶことに不安を感じ、ラジコン飛行機のように一部のマニアが楽しむものという見方をする人も増えていった。

それから6年経った今、ドローンに関する航空法が順守され、日常の場面でドローンが飛んでいるところを見かけることも少なくなった。その一方で、今度は国として有人地帯(第三者上空)での目視外飛行を実現させる取り組みに力を入れるようになっている。2016年に公表された、ドローンに関わる環境整備に向けた官民協議会の中で、ドローンの飛行レベルに関しては「無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ」案として、自動車の自動運転のようにレベル1~4までの4段階に整理された(表)。

(表)4段階に整理されたドローンの飛行レベル(国土交通省の資料を元に筆者が作成)
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(表)4段階に整理されたドローンの飛行レベル(国土交通省の資料を元に筆者が作成)

ドローンを活用してさまざまな社会課題を解決したり、新サービスを生み出すには、レベル4での飛行レベル実現が必須ともいえるだろう。そこで、政府は2022年までに自治体や民間企業がレベル4でのドローン活用を開始できるよう、安全性や操縦者の能力の担保、運航ルールの改正を検討している。

そうした検討が進むことを見越し、ドローン飛行において重要となるモバイル通信インフラを提供する各キャリアも、レベル4でのドローン活用を支援する準備を進めている。

複数のドローンを管制するシステム

KDDIはレベル4のドローン飛行実現に向け、複数のドローンが飛び交う上空においても、運航事業者が衝突回避などの管制業務を円滑に行い、ドローンの安全な同時飛行を実現する管制システムを開発した。管制システムは、人口カバー率99%となる4G LTEネットワークに接続されたKDDIスマートドローンや、他社の飛行制御システムで運航されるドローンの運航情報を収集する。それらの情報を元に、ドローン運航事業者が全国または各地域で保有するドローンを統合的に管理するという仕組みだ(図1)。

(図1)KDDIのドローン管制システムのイメージ(KDDIの発表資料より引用)
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(図1)KDDIのドローン管制システムのイメージ(KDDIの発表資料より引用)

ネットワークに接続された日本国内全域のドローンに加えて、ヘリコプターなどの有人機の管理システムとも接続されている。管制担当者は、システム上に表示される、運行中のドローンやヘリコプター接近時のアラートに従って衝突回避対応を行う。KDDIは本システムによる実証実験を、2021年3月に全国3拠点で同時に実施して成功させており、2021年度中の運用開始を目指している(動画1)。

(動画1)KDDIが兵庫県、三重県、宮城県で行った同時運航実証(KDDIの公式Youtubeチャンネルより)