少子高齢化の影響で人手不足の課題に悩まされている製造業では、工場内で人と並んで作業ができる協働ロボットの活用が注目されている。協働ロボットは工場だけに止まらず、オフィスでも活躍しそうだ。オフィスビル内のカフェテリアやコンビニから、応接室やデスクまで商品を届けてくれるロボットの実証がいろいろと行われている。人と一緒にエレベーターに乗って、フロアをまたいだ移動もできるようになった。このようなロボットがオフィスで活躍することで、働き方も変わってくるのだろうか。

カフェのドリンクを応接室まで運んでくれる配膳ロボット

三菱地所は「大手町パークビル」オフィス内にて、NECネッツエスアイが提供する自律走行型配送ロボット「YUNJI DELI」を活用し、カフェテリアのソフトドリンクなどを応接室に配膳する実証実験を2021年2月から3月まで実施した(図1)。

(図1)三菱地所とNECネッツエスアイによるデリバリーロボットの実証実験(三菱地所とNECネッツエスアイの報道発表資料より引用)
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(図1)三菱地所とNECネッツエスアイによるデリバリーロボットの実証実験(三菱地所とNECネッツエスアイの報道発表資料より引用)

実証実験では、大手町パークビル3階にある三菱地所の社内カフェテリアで用意されたソフトドリンクなどを、デリバリーロボットがセキュリティドアを自動で通過し、来客などとの打ち合わせスペースである応接室まで運んだ(写真1)。セキュリティドアの通過は、YUNJI DELIのボディに認証用のカードを貼り付けるなど、複数の方法が試された。

(写真1)アプリで注文されたドリンクを、デリバリーロボットがセキュリティドアと連携し、応接室まで自律走行する。(三菱地所とNECネッツエスアイの報道発表資料より引用)
(写真1)アプリで注文されたドリンクを、デリバリーロボットがセキュリティドアと連携し、応接室まで自律走行する。(三菱地所とNECネッツエスアイの報道発表資料より引用)

この実証実験で、飲み物を運ぶ適切な走行速度、人や設備に衝突しないかなどといった安全性や走行性能、運用性を検証。さらに、スタッフの配膳時間をどの程度低減できるか、非接触による感染対策として満足されるかなどといったサービスレベルや、セキュリティドアとの連携についても検証された。三菱地所は実用性を検証し、今後、オフィスビルなどへの導入について検討するという。

デリバリーロボットがエレベーターを使ってフロアを移動

オフィスビルでデリバリーロボットを活用する際、商品を販売するコンビニなどが別フロアにある場合はロボットにエレベーターを利用させたい。セブン‐イレブン、アスラテックおよびソフトバンクの3社は、ソフトバンクの本社が入居する「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」において、ビル内のコンビニで注文した商品を異なるフロアにあるオフィスまでデリバリーロボットが配送する実証実験を2021年4月から6月まで行った(写真2)。

(写真2)セブン‐イレブン、アスラテックおよびソフトバンクによるデリバリーロボットの実証実験のイメージ(セブン‐イレブンとアスラテック、ソフトバンクの報道発表資料より引用)
(写真2)セブン‐イレブン、アスラテックおよびソフトバンクによるデリバリーロボットの実証実験のイメージ(セブン‐イレブンとアスラテック、ソフトバンクの報道発表資料より引用)

実証実験ではソフトバンクの社員がコンビニの商品をスマートフォンで注文すると、店舗の従業員が商品をピックアップしてアスラテックのデリバリーロボット「RICE」に積載する。その後、デリバリーロボットが自律走行してエレベーターを利用し、注文があったオフィスまで商品を届ける(図2)。デリバリーロボットが利用するエレベーターは事前に設定されており、人と一緒にエレベーターを使って移動する。

(図2)実証実験での商品の注文から受け取りまで(セブン‐イレブンとアスラテック、ソフトバンクの報道発表資料より引用)
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(図2)実証実験での商品の注文から受け取りまで(セブン‐イレブンとアスラテック、ソフトバンクの報道発表資料より引用)

デリバリーロボットがエレベーターを降り目的地に到着すると、注文者のスマートフォンに通知が届くので、通知された番号をロボットのディスプレイ画面に入力して蓋を開けて商品を受け取る。商品を受け取り蓋を閉めると、デリバリーロボットはまたエレベーターに乗りコンビニに戻っていく。今回の実証実験では、エレベーターを使ったデリバリーロボットのフロア間移動には、三菱電機のスマートシティ・ビル向けIoTプラットフォーム「Ville-feuille」が利用された。