経済産業省がロボットのエレベーター利用を規格化

ソフトバンクのオフィスビルでの実証実験では、エレベーターによるロボットの移動は独自に開発されたプラットフォームが利用された。しかし、今後オフィスビルだけでなく商業施設や駅、ホテル、病院などでもロボットがエレベーターを利用して他のフロアへ自律的に移動できるようにするには、メーカーを問わずロボットとエレベーターが共通のプラットフォームを使って連携できることが求められる。

そこで、経済産業省はロボットのエレベーター利用を促進する通信機能を規格化した。経済産業省はロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリーな環境)を実現するため、2019年に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設置し、必要な取り組みを順次進めてきた。その取り組みの1つとして、2021年6月にメーカーを問わずロボットとエレベーターが通信連携する規格を策定している。

これまでは、ロボットにエレベーターを利用してフロアを移動させる場合、あらかじめ通信機能が備わったエレベーターか、エレベーター側の改修が必要だった。今回規格が策定されたことで、メーカーを問わずロボットとエレベーターが連携できるようになり、エレベーターに人とロボットが安全に同乗できるようになる(写真3)。従来からあるエレベーターでも、システムを追加することでロボットの利用が可能だ。

(写真3)経済産業省によるロボットのエレベーター利用のイメージ(経済産業省が作成したYoutube動画より引用)
(写真3)経済産業省によるロボットのエレベーター利用のイメージ(経済産業省が作成したYoutube動画より引用)

同規格については、今後経産省の「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会」に参加する施設管理テクニカルコミッティ事業者などの施設で活用するが、事業者からのフィードバック結果も踏まえて規格の改定を進め、国際標準化を目指していくという。

オフィス内で自律移動するロボットに人は馴染めるのか

デリバリーロボットが、さらにオフィスのデスクまでコンビニで購入した商品を届けてくれるようになると、消費行動にも変化が見えてきそうだ。

通常、オフィスワーカーがコンビニでお弁当などを買ってデスクで昼食をとる場合、買い物を一度に済ませるために、ドリンクや食後のコーヒーなども一緒にまとめ買いをするだろう。だが、デリバリーロボットに買い物を頼む場合は、例えばまずサラダやサンドイッチなどを注文し、食べた後に物足りないと感じたら追加でフルーツを注文するなどといったことができる。食終に、淹れ立てのコーヒーを持ってきてもらうことも可能だ。オフィスのデスクなのに、レストランで食事をしているような感覚になるかも知れない。

オフィスを自律移動するデリバリーロボットの導入課題の1つが、オフィスワーカーの受容性だ。すでにオフィスで働いているロボットもいくつかあるが、それらは夜間にビル内を巡回する警備ロボットやお掃除ロボットなので、昼間の人が働いている時間帯にオフィス内を自由に動くことはない。デリバリーロボットは人と一緒にエレベーターに乗ったりすることもあるので、受容性については気になるところだ。

ある企業でのデリバリーロボットの実証実験では、「最初はロボットが来ると人がよけていたが、ロボットの方が人をよけてくれることがわかってくると、だんだんとロボットの存在が気にならなくなってきた」といった報告も聞く。こうしたことから、特定少数が出入りするオフィスならば、ロボットと人の混在はそれほど難しくないと思われる。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、在宅勤務やリモートワークの推奨などオフィスのあり方も大きく変わってきそうだが、リアルオフィスでの働き方を充足させるロボットの活躍にも注目したい。