プロなどトップアスリートのプレーをトラッキングし、データをテレビ放送で紹介するのはもはや珍しくなくなった。しかし、試合を決定づける可能性がある重要シーンの成功率予測をリアルタイムに表示するとなると話は別だ。こんな先進的な取り組みをしているのが、米Amazon(Amazon.com)のクラウドプラットフォーム部門であるAmazon Web Services(AWS)である。

AWSのGeneral Manager, AI & Machine Learning MarketingのRyan Gavin氏は、世界最大級のスポーツ産業関連のカンファレンス「MIT Sloan Sports Analytics Conference(SSAC) 2019」(米ボストンで3月1~2日開催)に登壇。「The Machine Learning Renaissance(機械学習によるルネッサンス)」と題して、同社のクラウド上での機械学習(Machine Learning)を使ったプレーの予測が起こしている「スポーツ観戦革命」を紹介した。

Amazon Web ServicesのGeneral Manager, AI & Machine Learning MarketingのRyan Gavin氏
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F1で追い越しの成功確率を算出

具体的には、AWSはモーターレースの最高峰であるF1、米プロアメリカンフットボールのNFL、米プロ野球のMLBと提携。膨大なデータを基に機械学習を使ってプレーの成功確率をリアルタイムに予測し、放送映像に表示する取り組みを始めている。重要なプレーが起こる前に成功確率を画面に表示することで、観戦の新たな楽しみを提供するのが狙いだ。

予測には、機械学習モデルの構築・学習・実装・実行を一貫して行うAI開発支援サービス「Amazon SageMaker」を使う。SageMakerは、ディープラーニング(深層学習)を含む機械学習もサポートしている。

F1の運営・放映権管理などを統括するフォーミュラワン・グループは、2019年からテレビ観戦向けに、AWSを使ってレース展開の予測や運転技術の評価などの情報を提供しており、Gavin氏はその一端を紹介した。なお、F1は世界21カ国を転戦して大会が開かれ、5億人が視聴すると言われるビッグビジネス。そして車両は1台当たり120個のセンサーを搭載する「データ生成マシン」である。

F1では、SageMakerを使って「追い越しに成功する確率」や「ピットストップのアドバンテージ」を予測している。SageMakerにテレメトリ(ピットから遠隔でモニタリングできるマシンデータ)やタイミング(ラップタイム、前後車両とのタイム差、周回数など)、タイヤの性能劣化、車両の位置、天気といったデータを入れて予測する。

F1ではSageMakerを使って「追い越しに成功する確率」と「ピットストップのアドバンテージ」を予測している
(図:AWS)
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