コロナ禍だから気づく オンラインの可能性

未来に焦点を当てたトークセッション後半では「これから先、スポーツのチカラをどう社会に活かしていきたいか?」を表現するパワーワードを披露し、その思いを語り合った。

パナソニックが実施するアイデアコンテスト「SPORTS CHANGE MAKERS」も紹介された
パナソニックが実施するアイデアコンテスト「SPORTS CHANGE MAKERS」も紹介された

まず園田さんが、「GOING BEYOND BARRIERS」のキャッチフレーズでパナソニックが実施する学生のアイデアコンテスト「SPORTS CHANGE MAKERS」を紹介した。これは健常者と障害を持つ人、リアルとバーチャル、性別、時間などあらゆる壁をスポーツとテクノロジーで超えるアイデアを学生から募集するプロジェクトで、既に東京、北京、パリ、ロサンゼルスで各予選会が行われ、代表チームが決定している。東京オリンピック、パラリンピックに合わせ、8月に代表チームによるプレゼンテーションをオンラインで配信する予定という。神保さん、有森さんも「僕らが想像しえないことを形にしてもらえたら」「人間だから難しいこともたくさんあるが、人間だからできることを教えてくれるかもしれない」と新しいアイデアの出現に期待を寄せていた。

印象的だったのは、「resilience(困難にぶつかっても、弾力的にしなやかに回復し、乗り越える力)を持って」を掲げた有森さんのコロナ禍でこその気づきだ。「スポーツは現場ありき、ライブでなければできないという固定観念があるが、オンラインマラソンをやってみると、障害がある、遠い場所にいるといった、これまでライブだと参加できなかった多くの人も参加できることに気づかされた。スポーツがテクノロジーなどを利用してもっといろいろな方法論を持てば、誰一人取り残さないという(SDGsの)目標を実現化していけると思う」と話した。「あきらめず、柔軟性を持って回復していくイメージで、焦らず牛歩のごとくやっていこうというのが、今年の私のキーワード」(有森さん)。

神保さんは「世界とつながる」を挙げ、「スポーツではいかなる差別もあってはならないと思っているが、世界では宗教の違いで紛争があったり、さまざまな問題を抱えている。そんな中でも、なかなか支援の届かない途上国を中心に一人でも多くの人にスポーツの楽しさを伝え、スポーツで世界を一つにしたい」と夢を語った。

「つながる」に有森さんも共感し、「今カンボジアには行けないためオンラインでトレーニング方法を教えたりしている。少し工夫すれば、どこにでも配信でき、誰にでも参加してもらえるというのは目からうろこだった。今は、逆に心のふれあいがもっとできる、楽しみな状況なんじゃないか」と語った。それを受け、「マレーシアで当時、仕事もないしどうしようと言っていた子どもたちが今は結婚して子どもができ、指導者になった子もいる。僕は“同志”と呼んでいるが、いろんなところに“同志”がいて、いまだに遊びに行ったりしている」と神保さん。園田さんもザンビアの教え子たちと今もSNSでつながっていると言い、「教え子たちがコーチになって次の世代に教えているのをSNSで見て、自分自身も励みになっている」と、支援が現地で継続されていることを喜んでいた。

スポーツの力を表現する言葉が視聴者からもたくさん寄せられた
スポーツの力を表現する言葉が視聴者からもたくさん寄せられた

登壇者のトークを聞いていた視聴者からも「あなたにとって『スポーツのチカラ』とは?」に「感動」「熱狂」「元気が出る」「人間の生きる意味」、「これから先、スポーツのチカラをどう社会に活かして行きたいか?」に「世界平和」「多様性のある社会」「教育」などの言葉が次々と寄せられた。教育については、有森さんから「教育は“共育”」という名言も飛び出し、「スポーツは、しっかり食べる、ルールを守る、お互いを思いやる、コミュニケーションをきちんと取るなど、生きていくのにとても大事なことをわかりやすく教える手段にもなっていると思う」と指摘があった。「スポーツは(自分が)プレーするもの、観るものというのは通常思いつくが、お二人の話を聞いて、やはりそれ以上の力、価値があるんじゃないかと改めて感じた」と最後に園田さんが話したように、スポーツの持つ幅広い可能性を再認識できるイベントとなった。

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