パナソニックは2021年3月9日、「SPORTS CHANGE MAKERS プレイベント」を開催した。同社は、スポーツを新しいテクノロジーで発展させるアイデアを世界の学生から募るコンペティション「SPORTS CHANGE MAKERS(SCM)」を実施中だ。8月23日に最終プレゼンテーションを開催する予定。今回はそのプレイベントという位置付けになる。コロナ禍を鑑みて、パナソニックセンター東京を本会場とし、同時にオンライン上にもそっくりな仮想空間を構築。オン・オフどちらでも対応可能なイベントの形態を示した。

パナソニックがこのイベントに用いたのは、今回開発した「Mirror Field」という新技術だ。SCM最終プレゼンテーションがオンラインになる可能性を見据え、「バーチャルなイベントであっても臨場感を持って学生たちの熱い想いを伝えられるように」という考えから開発を進めたという。

Mirror Fieldの最大の特徴は、現実空間と仮想空間が相互に作用し合う仕組みを提供できること。オンラインで参加したユーザーは、オフライン会場とそっくりな仮想空間をアバターとなって移動する。スクリーンにはオフライン会場の様子が投影されている。それをアバター視点で見ることもできるが、スクリーンをクリックすれば通常のストリーミング配信のように見やすい形で閲覧できる。

Mirror Fieldの画面例。オンラインで参加したユーザーは、オフライン会場とそっくりな仮想空間をアバターとなって移動する(写真:パナソニック、以下同)
Mirror Fieldの画面例。オンラインで参加したユーザーは、オフライン会場とそっくりな仮想空間をアバターとなって移動する(写真:パナソニック、以下同)

オフラインのイベント登壇者はそれぞれタブレット機を持っており、それによって立ち位置を捕捉し、仮想空間上にアバターを表示する。タブレットの画面にはMirror Fieldの様子が映っており、現実の空間と同じ位置に仮想空間が重なって表示される。タブレットを動かすことで、視点を変えることも可能だ。

SCMプレイベント当日のオフライン会場の様子。前面のパネルには、イベント登壇者が持つタブレット機の画面イメージが投影されている。オフラインの参加者とオンラインの参加者の情報が統合して表示される
SCMプレイベント当日のオフライン会場の様子。前面のパネルには、イベント登壇者が持つタブレット機の画面イメージが投影されている。オフラインの参加者とオンラインの参加者の情報が統合して表示される

Mirror Fieldでプレゼンを盛り上げる

イベントで最初に登壇したのは、パナソニックのブランド戦略本部オリンピック・パラリンピック課でSCMのリーダーを務める福田泰寛氏。福田氏はパナソニックが映像音響機器を中心にオリンピックをサポートしてきたことを紹介し、2017年からはユース世代のスポーツの力を支援するプログラムも展開していると説明した。SCMはその一環であり、「既存のオリンピックを拡張するようなアイデアを募集しました」(福田氏)と話した。

SCMの選考は2019年9月にスタートしており、既に日本、中国、欧州、米国、以上4地域の各代表が決定済み(代表者の氏名などの詳細はSCMの公式ページを参照)。各代表は現在デモの制作を実施しており、2021年8月23日にオリンピック・パラリンピック関係団体に対して最終プレゼンテーションを行う予定である。将来、各代表のアイデアがオリンピック・パラリンピックの大会などで採用されることを目指して、パナソニックは各代表をバックアップする。

次に登壇したのはSCMプロジェクトのテクニカルディレクターである北島ハリー氏。Mirror Fieldについて説明した。北島氏は「実空間とバーチャルで相互にインタラクションできるフィールドを開設しました。8月の最終プレゼンテーションでは、この仕組みを使ってプレゼンテーションを魅力的に演出する予定です」と語る。例えば、現実の会場とバーチャルの会場のライトが連動して明滅する、といった仕掛けを考えているという。

テクノロジーで壁を超える

続いて、「スポーツ×テクノロジーでバリアを超えることができるのか」をテーマにしたパネルディスカッションが開かれた。登壇したのは、東京2020組織委員会スポーツディレクターの小谷実可子氏、SCM日本代表の横瀬健斗氏(京都工芸繊維大学に在学中)、東京2020組織委員会アドバイザーの澤邊芳明氏、パナソニックの川合悠加氏の4人。モデレーターはITジャーナリストの林信行氏が務めた。なおパナソニックの川合氏は、同社の新規事業コンテスト「Game Changer Catapult」を通じてスタートした新サービス「Spodit」に主要メンバーとして従事している。

パネルディスカッションの様子。右からパナソニックの川合悠加氏、東京2020組織委員会アドバイザーの澤邊芳明氏、SCM日本代表の横瀬健斗氏、東京2020組織委員会スポーツディレクターの小谷実可子氏、ITジャーナリストの林信行氏
パネルディスカッションの様子。右からパナソニックの川合悠加氏、東京2020組織委員会アドバイザーの澤邊芳明氏、SCM日本代表の横瀬健斗氏、東京2020組織委員会スポーツディレクターの小谷実可子氏、ITジャーナリストの林信行氏