2024年パリ五輪で競技として行われることが決まったブレイキン(ブレイクダンス)。日本は世界でもトップクラスのダンサーがそろう、ブレイキンの強豪国であることをご存知だろうか。初めて競技種目となった2018年のユースオリンピックでは男女ともメダルを獲得。2021年12月にパリで行われた世界ブレイキン選手権でも福島あゆみ選手と湯浅亜実選手が金銀メダルに輝き、パリ五輪にも期待がかかる。ストリートで発展してきたブレイキンは、東京五輪で人気が広がったスケートボードのようになれるのか。シリーズ「ダンスが拓く新たな世界」第1回は競技スポーツとしてのブレイキンに迫る。

ブレイキンは1970年代初頭の米ニューヨークの貧困地区で生まれたとされる。ストリートギャングが縄張り争いを繰り広げる中、抗争の平和的な解決方法としてダンスで勝負する「バトル」が定着していったという。そのルーツゆえ、時には相手を挑発したり、「俺のダンスはお前より上だ」と言わんばかりの動きをダンスですることもあり、そのバチバチ感が一つの魅力にもなっている。

「『ブレイキンはスポーツじゃない、文化だ』という人もいます。でも僕は、オリンピック種目になって素直にうれしかった。僕自身もそうですが、僕よりも若い子たちにとってさらにもう一つ大きな目標ができるし、今までブレイキンを全く知らなかった人にも見てもらえる機会になりますから」

中学時代から著名な世界大会で活躍し、JDSF(公益社団法人日本ダンススポーツ連盟)ブレイクダンス部の強化指定選手にも選ばれているISSEIさん(24)はそう話す。

ISSEIさん。「ブレイキンに限らずダンスの一番の魅力は、言葉がなくても踊るだけで通じ合えること。ブレイキンのおかげで世界中どこへ行っても友人ができます」©D.LEAGUE 21-22
ISSEIさん。「ブレイキンに限らずダンスの一番の魅力は、言葉がなくても踊るだけで通じ合えること。ブレイキンのおかげで世界中どこへ行っても友人ができます」©D.LEAGUE 21-22

ISSEIさんはブレイキンの世界大会の一つ「R16 Korea」で2012~2014年まで3年連続ソロ部門で優勝。2016年には世界最高峰の1on1ブレイキンバトルイベント「Red Bull BC One World Final」(名古屋)で最年少にして日本人初となる優勝を果たし、2019年の世界ブレイキン選手権では銀メダルを獲得するなど輝かしい経歴を持つ。ブレイキンの世界でBBOY(ブレイキンの男性ダンサーの呼称。女性ダンサーはBGIRL)の「ISSEI」を知らない人はいない。

2021年からスタートしたプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」に参加しているのも、ブレイキンの認知を広げたいという思いからだという。今はD.LEAGUE唯一のブレイキンチーム「KOSÉ 8ROCKS(コーセー エイトロックス)」のディレクター(監督)兼ダンサー(選手)としての活動に専念しており、11人のメンバーをまとめながら2週間に一度の試合に向けて毎日6~8時間の練習に励んでいる。

「ブレイキンと聞くと、ちょっとハードで怖いイメージがあるかもしれませんが、僕らのチームは、ブレイキンの可能性をどんどん広げたいと思って活動しています。バトルの文化もあれば、オリンピックもあって、僕らみたいなエンタメ寄りのショーケース(事前に決めた曲、振り付けで踊るダンス)で楽しいブレイキンもある。僕よりも若い世代の子たちがさまざまな方向を目指せるといいなと思っています」

ISSEIさんが率いるKOSÉ 8ROCKS。アクロバティックな大技が次々に繰り出されるパフォーマンスは、毎回高い評価を得ている ©D.LEAGUE 21-22
ISSEIさんが率いるKOSÉ 8ROCKS。アクロバティックな大技が次々に繰り出されるパフォーマンスは、毎回高い評価を得ている ©D.LEAGUE 21-22