オンライン医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」が話題を呼んでいる。サービスを手がける伊藤俊一郎氏は心臓外科医であり、関東を中心に在宅医療を提供する「メドアグリクリニック」を展開する。現場主義の医師がなぜアプリ開発を目指したのか。本人の言葉から、その背景に迫る。

新型コロナ後に急伸、50万ダウンロードを達成

新型コロナウイルス感染症で注目されたオンライン診療。しかし、診療報酬の低さなどから対応医療機関が少ないという問題が浮上し、需要はあれどもなかなか普及が進まない現状がある。

一方、診療行為を伴わないオンライン医療相談サービスは堅調だ。スマートフォンのチャットで医師や看護師など医療従事者に体の不調を相談し、アドバイスを受けるスタイルが時代のニーズに合致した。コロナ禍で通院のハードルが上がったこともあり、オンライン上の気軽な相談先として利用者が増えている。

大手のLINEヘルスケアをはじめ競合がしのぎを削る中で、急速に注目を浴びているのがオンライン医療相談アプリ「リーバー」である。2018年から開始したサービスで、最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月以降にユーザー数が伸び、2021年11月にはアプリの累計ダウンロード数が50万を突破した。

50万ダウンロードを突破したアプリのリーバー(出所:リーバー)
50万ダウンロードを突破したアプリのリーバー(出所:リーバー)

リーバー代表取締役の伊藤俊一郎氏は、筑波大学の医学専門群を卒業後に心臓外科医として約10年間勤務。リーバーと並行して在宅医療を提供する「メドアグリクリニック」や、住宅型有料老人ホーム「アグリケアガーデン」などを展開する現役医師/経営者としての顔を持つ。コロナ禍における在宅医療の現状やリーバーの強みについて伊藤氏に聞いた。

――関東を中心に在宅医療中心のクリニックチェーンを展開されています。まずはこちらについて教えてください。

クリニックを始めたのは2015年で、現在は茨城県、千葉県、東京都、新潟県、愛知県など全国17カ所で直営チェーンを経営しています。きっかけは、高齢者が長期入院しづらい状況を心臓外科医として働くなかで強く実感したからです。高齢化が進む中で、自宅や入居施設で医療を受けられることは、患者にとって大きなメリットがあります。この2年ほどは、新型コロナの影響で入院してしまうと家族と面会できなくなることから、在宅医療へのプレゼンスがさらに高まりました。

リーバー代表取締役の伊藤俊一郎氏(出所:リーバー)
リーバー代表取締役の伊藤俊一郎氏(出所:リーバー)
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――確かに患者や家族は安心できますよね。他方、設備が整っていない在宅医療の医師は常にコロナ感染の脅威と隣合わせですが、難しさを感じる場面も多いのではないですか。

おっしゃる通りです。今は在宅医療でもコロナ患者を診なければいけない状況になっています。とくに第5波、第6波になってからは、比較的緩やかだった茨城県でも感染リスクが鮮明になってきました。第6波は自分たちが訪問診療をしている老人ホームでもクラスターが発生していますし。

在宅医療の医師は基本的にソロプラクティス(単独開業)ですから、万が一コロナにかかってしまったら替えがききません。急変が多いことを考えると、本来は複数の医師がいる大きな病院で診るべきだと思います。病気のプロたる医師であっても、コロナには罹患したくないのが本音です。ジレンマを抱えながら診察している現状を、ぜひ知ってほしいと思います。

とは言え、在宅療養中の患者が発熱したからといっても一切断りません。介護施設で働く職員、とくに介護士は逃げられずにずっとそこで働いているわけですし、できる限り患者やエッセンシャルワーカーの不安を取り除きながら在宅医療にあたっています。