2017年に誕生した「なでしこナース」は、“看護師版Uber”ともいえる、これまでの医療業界にはなかったシェアリングサービスである。ヘルスケア×ITの知見を総動員し、非効率な部分が多い医療の世界に風穴をあけようと奮闘している。運営会社である4U Lifecare(フォーユーライフケア)の伊藤久美社長に、サービスの内容と展望について聞いた。


―なでしこナースは潜在看護師に特化したサービスです。まずは、潜在看護師について教えてください。

潜在看護師というのは、資格を持っていながら働いていない看護師のことで、日本には約70万人いると言われています。就職先がないわけではなく、ほぼみんな、いったんは病院に勤めていながら、やめた方たちです。

職場の雰囲気に馴染めず辞めてしまうようなケースもありますが、ご存知のように看護師の仕事は非常にハードですから、体調を崩してやめていく人が多くいます。そうやって一度職場から離れてしまうと、なかなか激務への復帰が難しい。特に自宅で育児や介護などに携わらなければならない場合、フルタイムで激務に戻るのはかなりハードルが高くなります。

といっても、激務であることがわかっているため敬遠するのであって、もう一度働きたいという気持ちを持ち続けている人たちは大勢います。それなら火曜日だけ、週2日だけといったように、空いている時間に短期・単発で働ける環境だったらどうだろう?こうした考えから始まったのが、潜在看護師を主対象としたサービス「なでしこナース」です。

―実際のところ看護師は、どの程度不足しているのでしょうか。

2025年になると、後期高齢者が一気に増え、在宅医療がますます加速していきます。ここで主役となるのが訪問看護師です。ただ、本当に数が足りない。これは在宅に限らず病院の看護でも同じですが、とりわけ顕著なのが訪問看護師なわけです。今のままではかなりの需要不足に陥るとみられていて、非常に深刻な問題になっています。

だからこそ、常勤が厳しいと考えている潜在看護師のリソースを有効活用すべきではないかと。その人たちに「こういう自由な働き方もありますよ」と提案してあげたいのです。看護師の転職支援は人材紹介サービスが主流で、常勤の案件がほとんど。つまりそこには、大きなホワイトスペースがあるのです。

―それで、働く時間帯で案件を選べるような求人情報を提供していると。

そうです。なでしこナースのサイトに職歴やスキルなどを含むプロフィールを登録して、自分の働きたい時間帯、場所、賃金に合った求人を探します。仕事が決まれば勤務先と直接メールなどでやり取りして契約を結びます。短期・単発が主流の登録制バイトサービスの看護師版とも言えますし、潜在看護師のスキルを、あいている時間だけサービスに使うUberのようなサービスとも言えます。ITだけでマッチングを図り、スマートフォンで完結できる点が強みですね。人手がかかっていないので、雇用する側にとっても紹介手数料が格段に安く済むというメリットがあります。