細かいスキルチェックでミスマッチをなくす

―実際に登録しているのはどんな人たちですか?

潜在看護師がターゲットですから、対象の多くは主婦の方です。いずれにしても働く意欲はあるけれど、時間に拘束されたくない、自由な働き方をしたいという方たちがほとんどですね。ダブルワークで、より多くの収入を得たいと考えている看護師も一定数います。

もう一つ、短期間でも違った診療科を経験して“外の世界”を覗いてみたいとの思いから登録している方たちもいます。新卒看護師の就職先は基本的に病院なので、そのまま診療科が固定されてしまうことが少なくありません。そう考えると、スポットでほかの診療科を経験できたり、あるいは電話相談などの新しい仕事に携われたりすることは新鮮なのだと思います。

―看護師のスキルはどのように評価しているのでしょう。自己申告の登録制となると、極端な話、「採血ができなかった」「脈が測れなかった」などといったミスマッチが起きてしまう心配もあるのでは。

そうならないように、私たちは10分野・64種類のスキル評価項目を用意して、それぞれ4段階でスキルレベルをチェックしています。例えば「食事援助技術」「排泄援助技術」「呼吸・循環支援技術」「投薬支援」といった内容です。

こうしたミスマッチ防止は非常に大切です。先ほど話したように、これから飛躍的にニーズが増えるのが訪問看護です。患者さんの自宅は病院のように設備がそろっているわけではありませんから、器具を煮沸する作業1つにしても看護師のヒューマンスキルや経験値にかかっています。すごく創意工夫が試される場なのです。

訪問看護はやりがいのある仕事だと思います。実際、サービスを利用している看護師さんたちから、「こういう看護らしい看護がやりたかった」という話もよく聞きます。そうした人たちなら、在宅で看取りまでフォローできる訪問看護に、高いモチベーションを持って取り組めるはずです。潜在看護師だけでなく、新しい領域にチャレンジしてみたいという看護師には、ぜひ、なでしこナースを利用して、スポットで訪問看護を体験してほしいですね。

―ITが医療にもたらすメリットは何だと思いますか。

私は長くマーケティングやITコンサルティングに携わってきた身なので、医療の世界の常識を常識とは思えませんでした。外から来た人間からすれば、“ムダなおもてなし”が多いように見えたのです。人材紹介を例に取れば、病院側は必要なスキルを見える化することなく、人材紹介会社に「こんな感じの人をお願い」と一方的に託してしまう。だから高い手数料が発生するのです。

でもそれって、シンプルに定型化できることですよね? 我々のようにスキルの洗い出しをオンラインで用意しておけば、雇用側の病院も、求めるスキルを持った看護師を高い確率で見つけられます。そのための、看護師集め、スキルチェック、そしてマッチングを広範囲に、そしてスピーディに実施できるのは、ITの力あってこそです。

―今後の展開をどのように考えていますか。

看護師は高度な専門職ですから、そのスキルのシェアリングは、適材適所で発展していくでしょう。救急看護や集中ケアのように、常勤職でしかこなせない看護もたくさんあります。でもそうした人たちを短期・単発でもプロフェッショナルにサポートする看護師が、なでしこナースを利用して活躍する――そんな姿が一つの理想です。

最近では、このプラットフォームをほかの専門職の分野に活かせないかといった相談を数多く受けています。例えば医師、薬剤師、保育士、介護職員、栄養士、理学療法士などです。医師のマッチングは既に開始しました。我々はこれを「カスタムなでしこ」と名付け、なでしこナースと並行して展開していく予定です。