「認知行動療法」は、不眠治療のキーワードになるか?

昨今、睡眠不足や不眠の治療法として脚光を浴びる手法がある。「認知行動療法」と呼ばれるもので、もともとは、うつ病や不安障害に対する治療効果があるカウンセリング療法だが、現在では医療以外の分野にも幅広く応用されている。米国では投薬に頼らない不眠解消法として採用される場合も多い。

奇しくも日本では、認知行動療法を採用したアプリやサービスが続々と誕生している。睡眠薬代替のスマホアプリ「yawn」を開発するサスメドは、2020年に同アプリの医療機器登録を目指す。すでに2016年度から臨床試験を開始した。

yawnには認知行動療法のメソッドを実装し、医師が患者にアプリを“処方”する。患者はアプリのチャットを通じて睡眠情報や不眠の原因となるストレスを書き出す。この相談や振り返りが不眠についての問題解決に取り組んだ実績となり、ストレス解消につながるという。

「スリープコーチ」は睡眠専門医が監修した睡眠改善支援サービスで、こちらも認知行動療法を採り入れた。スマホのブラウザで手軽にコーチングが受けられるが、1週間ごとに組み立てられたメニューを8週間にわたって繰り返す重厚な内容となっている。

(図1)スリープコーチのイメージ(出典:スリープコーチ)

コーチとともに目標設定とメニューを実践。その成果はサービス上で可視化され、振り返りによって自分に最適な睡眠プログラムを作成していく。開発者は不眠症に悩んでいた人物で、認知行動療法に救われたことが開発のきっかけ。それだけに、「より多くの人に認知行動療法を知ってほしい」ことが大きなモチベーションになっている。そのほか、2017年9月にNECソリューションイノベータが開発したWebアプリにも認知行動療法が採用され、睡眠改善のための実証実験を行った。

睡眠改善をビジネスとして捉える動きも出てきた。ニューロスペースでは個人の睡眠データを蓄積し、AIによって最適な快眠ソリューションをデータベース化。これをプラットフォームとして各企業に開放し、睡眠改善支援の拡大を図ろうとしている。

2017年10月に発表した「睡眠解析プラットフォームβ版」がそれだ。同社は睡眠ビジネスを手がけてきたベンチャーで、大手企業との睡眠改善プログラムで実績を出してきた。2017年2月にはパナソニックと睡眠改善手法の共同開発を開始した。

(図2)睡眠解析プラットフォームのイメージ(出典:ニューロスペース)

プラットフォームの実用化に向け、吉野家と実証実験の第1弾を行うことが決定。睡眠解析プラットフォームβ版ではプラットフォーム開放と同時にAPI提供を予定する。いわば睡眠データのマーケットプレイスであり、浸透すればさまざまなアプリに睡眠データが連携して、新たなビジネスモデルが生まれる可能性がある。