自分の所有物を他の複数の利用者がシェアできるようにすることで収益を得る――。モノや民泊、配車サービスなどから始まったシェアリングエコノミーは、年々その対象を拡大している。

最近では体験や技能を時間単位で切り売りするスキルシェアが増えてきている。家事代行、育児、配達、勉強の知識、スポーツ指導といったもので、個人間取引(C2C)の仕組みを介して手軽に依頼できる点が特徴である。この考え方を医療や看護、介護といった専門スキルに展開する動きがある。

医療相談アプリの「LEBER(リーバー)」は、医師の知見を持ち寄る“ドクターシェアリングプラットフォーム”である。リーバーを運営するアグリーの伊藤俊一郎代表はかつて大学病院で心臓血管外科医を務めた人物。いわゆるコンビニ受診で年中混雑している病院の現状を解消し、医師不足を補うためにITツールを活用しようと考えた。

ドクターシェアリングをうたうリーバー。症状部位は直感的に選択できるため、きちんと症状を伝えやすい。家族も相談できるのがメリット(下)

「軽微な症状ならばスマホアプリで医師から素早く的確な問診を受けられるようにすれば、常に混雑し、混乱する医療現場の現状を少しでも改善できるはず」。この主旨に賛同した医師を全国から募り、“知”を集める。2018年7月27日現在、登録医師数は56人だ。

利用者は、アプリを使って24時間365日、医師に相談できる。利用者に、医師が作成した選択形式の問診に答えさせ、症状と、疑わしい疾患を絞り込む。遠隔診療にあたる“診断”まではいかないが、疑いのある疾患について医師がコメントしたり、その症状に見合った病院・クリニック・ドラッグストアを推薦したりしてくれる。

今のところスマホアプリはiOS版のみだが、2018年9月からAndroid版も提供する。スタイルのため、間違いは少ない。相談時間に加え、客観的な医師の評価(★の数)に応じて対価が決まる点もユニークだ。

個人向けサービスのほか、中小企業などにも、法人の医療相談窓口として導入が進んでいる。その特性を生かし、今年7月の豪雨の被災者向けに無料の健康相談を開放した。10月24日までは続ける予定である。

医師の空いた時間を有効活用する「小児科オンライン」

これと同様の内容を小児科に絞って提供しているサービスもある。現役医師の橋本直也氏が代表を務める「小児科オンライン」がそれ。多くの病院やクリニックが閉まっている平日の18時~22時のみサービス提供するのがポイントで、医師の空いた時間を有効活用している。LINEまたは電話で小児に関する悩みを相談でき、数多くの大手企業が導入するなどの実績もある。数十人の小児科医師が登録済みだ。

彼らも社会貢献には意欲的な姿勢を見せる。医師の偏在によって小児科がいない地方が増える中で、これまでに鹿児島県錦江町、埼玉県横瀬町、長野県白馬村と連携してきた。白馬村のケースは厚生労働省が全国で推進する「子育て世代包括支援センター」の開設に合わせたもので、積極的に行政との情報連携を図っていく。

小児科オンラインにおける医療相談のイメージ