現役医師によるスタートアップも登場

T-ICU 代表取締役社長の中西智之氏
T-ICU 代表取締役社長の中西智之氏

ピッチには2人の現役医師も登壇した。そのうちの1人、救急・集中治療の専門医である中西智之氏は、「集中治療専門医の地域格差や、病院間の医療格差をなくしたい」(中西氏)との思いから2016年10月にT-ICUを設立した。

日本の医師が約32万人いる中で、集中治療の専門医はわずか0.5%の1600人しかおらず、圧倒的な人材不足にあえいでいる。専門医不在の集中治療現場では、一刻も早い的確な知恵の共有が鍵を握る。そこで同社が提供する同名のサービスでは、遠隔からの集中治療支援ソリューションで、ビデオ会議システムによって集中治療の専門医が、現場の医師や看護師から提供された医療情報に基づいてアドバイスを行う。

いわゆるDoctor to Doctor(DtoD)の高度なサービスだが、心電図モニターなどを専用端末に接続するだけで画面を転送して共有できる。現役医師ならではの視点が反映された本ソリューションは、既存技術の組み合わせでもICTが医療現場で十分に役立つことを実証している。

ジーケア 代表取締役の堀田伸勝氏
ジーケア 代表取締役の堀田伸勝氏

続くジーケアも現役医師の堀田伸勝氏が代表を務める。炎症性腸疾患(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)などの消化器疾患のケアにデジタルヘルスを採用し、日常生活レベルから患者をサポートする仕組みを考えている。

IBDは、「ひどいと1日に15回も下痢に悩むことがある。結果的に学校や仕事などに大きく支障をきたしてしまう」(堀田氏)という難病で、完治が難しいとされる。日本では若年層を中心に22万人の患者がおり、安定期と悪化する時期を繰り返すのだという。この病気の専門医として携わってきた堀田氏は患者へのインタビューを通して、病気悪化のサインや信頼性の高い情報を得るためのツールが必要だと考えた。

ジーケアでは、医師によるアプリの遠隔モニタリング、オンラインの患者コミュニティを提供する予定だ。例えばアプリでは患者が症状を入力し、その結果に対して医師が体調を判断して点数によってスコア化。点数が下がってきたら早期の受診を勧めることなどを想定している。専門的な内容だけに開発は大学病院などと連携して進めており、将来的には薬事承認を目指す。