緑、ミニジム、瞑想ポッドを備えたビルが渋谷に誕生

実際にWELL認証の取得を推し進めるオフィスとはどのようなものなのか。2019年9月に行われた東急不動産新オフィスの内覧会で、現場の実態に触れる機会を得た。

2019年8月、東急不動産は東京・渋谷の道玄坂にある地上21階のビル「渋谷ソラスタ」に本社を移転。これを機に、WELL認証の取得や働き方改革の実現に向けてさまざまな試みを開始した。まず目に飛び込んできたのが共用部や執務スペースにふんだんに配置された植物だ。先に紹介したイトーキ、清和ビジネス、point 0 marunouchiと同様に、緑はWELL認証に不可欠な存在となっている。緑がオフィスワーカーに生産性向上などのポジティブな効果をもたらすことは、英エクセター大学の研究結果でも裏付けられている。

執務スペースに置かれたダイナミックな植物群(写真:小口正貴、以下同)
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同社では2015年から「Green Work Style」のプロジェクト名でオフィス内に緑を採り入れてきたが、執務スペースに置いたのは今回が初めて。すでに自社社員によるGreen Work Styleの脳波測定の実証実験で、オフィスに緑を置くことでストレス軽減、生産性向上、モチベーション向上が認められた。その延長として新オフィスでも脳波測定を継続する。

作業時に脳波測定をするイメージ
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計測には慶應義塾大学の協力を得て「感性アナライザ」と呼ばれるデバイスを活用。ストレス度、集中度、興味度、快適度、ワクワク度などをタブレット上でグラフ表示し、緑がメンタルにどんな影響を与えるのかを見える化する。

脳波測定の結果から、項目ごとに状態をグラフ化する
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フィットネスでは、執務スペースの一角にミニサイズのジムを設けた。サイクルマシンやバランスボール、ヨガポールなどを常設し、勤務中でも気分転換の運動ができる。靴を脱いでリラックスしながらミーティングすることも可能だ。ウエアラブル心拍センサーを装着してリラックス効果を大型ディスプレイで可視化したり、独自のフィットネスアプリで健康管理を行ったりといったテクノロジーとの融合もある。

ミニジムで運動する様子。ディスプレイには運動効果が映し出されている。ミーティング時はノートPCを持ち込むことで開放的な会議室に早変わり
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最も目を引いたのが日本初上陸となる瞑想ポッド。卵型の室内に1〜3人で腰掛け、暗い空間でヘッドホンをしながら瞑想を行う。流れる音はタブレットから選択でき、瞑想に最適なヒーリング音のみならず、呼吸法のメニューもある。ポッド内にはうっすらとアロマも漂い、体全体でリラックスした雰囲気を味わえる。瞑想の1サイクルは12分間。習慣化している人以外、日常生活でそれだけ長い時間を瞑想すること自体が珍しいが、雑念を振り払うことでクリエイティビティが上がる効果が見込めるという。

米国企業が開発、日本初上陸となった瞑想ポッド
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また、指先の血流を計測して瞑想効果を可視化。“こころ”の健康にも配慮する。

心の状態を可視化。コミュニケーションロボットをそばに置き、スタッフがいなくても利用できるようにした
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オフィス内の木を基調としたデザインは、どこかほっとする空気に満ちていた。古いビルを改修して入居するスタートアップにも似たような空気感がある。時代の流れは徐々にこうした方向に進むのだろう。

快適なオフィス環境に「人の健康」というエッセンスを加えたWELL認証は、これまでのワークスタイルを変えるポテンシャルを秘めている。